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【紀元焦點】中国共産党黙認の詐欺グループ 米国で毎年50億ドル被害 日本も標的

2025/07/24
更新: 2025/07/24

中国共産党(中共)が支援・黙認する詐欺グループが、アメリカを中心に世界中で巨額の被害を拡大させている。AIや仮想通貨、SNSを悪用した新手の詐欺手口が横行し、日本でも同様の被害が増加している。

アメリカ議会の特別委員会は最近、中共政府が密かに支援するアジアの詐欺グループによって、アメリカの国民が毎年50億ドル以上の金を失っていると発表した。

米中経済安全保障調査委員会(USCC)の最新報告では、2024年に発生したネット詐欺件数は前年比42%増を記録し、状況は悪化の一途をたどっている。

2024年3月、バージニア州に住む82歳のデニス氏は、フェイスブックを通じて「ジェシー」と名乗る女性と出会い、数か月にわたるやり取りの末、親密な関係を築いた。ジェシーは仮想通貨投資で大儲けしたと主張し、デニス氏に生涯の貯蓄を投資するよう強く勧めた。最終的にデニス氏の全財産はジェシーと共に消え、深い絶望の末に同氏は命を絶った。

この種の詐欺は決して稀な事例ではない。アメリカ平和研究所が招集した専門家パネルの推計では、2023年における世界全体の被害額は約640億ドルに達した。アジアでは、ミャンマー、カンボジア、ラオスが詐欺グループの主要な活動拠点として機能している。

中共 軍部と治安部隊を動員し 東南アジアで詐欺センターを掌握

中共は軍隊を出動させて隣国に進入し、詐欺関連機器をすべて持ち帰っている。

中共当局は詐欺センター問題を口実として、東南アジアにおける影響力をさらに拡大している。報道では、フィリピン国内の詐欺センターが中共当局のスパイ活動と結びついている可能性を指摘している。

米中経済安全保障調査委員会(USCC)の報告では、中共当局が「中国人被害者の保護」を名目に東南アジア諸国に圧力をかけ、中共の治安部隊に地域での活動権限を与えるよう仕向けていると明示した。

中共政府の文書によれば、中共治安部隊は東南アジアでの詐欺センター摘発に際し、大量の詐欺関連機器を押収している。2023年にはラオスで複数の摘発作戦に参加し、少なくとも640台のパソコンと携帯電話を回収した。2024年8月にはミャンマーの作戦に加わり、「大量」の詐欺用コンピューターと携帯電話を確保し、それらすべてを中国本土に持ち帰った。

USCCは、これらの機器に中共の犯罪ネットワークに関する機密情報や、アメリカ人を含む詐欺被害者の極めて機微な個人情報が含まれる可能性を示唆した。一方、アメリカ平和研究所のビルマ担当部長であり、中共の越境犯罪に精通するジェイソン・タワー氏は、中共当局がこれらの情報を一貫して外国政府と共有していないと証言した。

中共 摘発の対象を選別

USCCの報告によると、中共政府は摘発の対象を選別している。すなわち、中共の統制に従わないグループに対しては強硬に対処する一方、中共の指示に従うグループに対しては黙認している。この選別的対応が、犯罪グループに「中共の意向に従えばより安全かつ高収益が得られる」というシグナルを送る結果となっている。

報告は、「選択的な摘発によって詐欺センターの規模と範囲を縮小させるどころか、北京は中国人被害者を保護するという建前の下、詐欺活動の矛先をアメリカなど外国に向けさせている」と述べた。

報告によれば、これらの中国系犯罪集団は当初、中国国内の市民をターゲットにしていたが、中共の摘発後は英語圏を中心とする海外市場に活動の場を移した。

報告はさらに、「中共当局は中国人を標的とする詐欺センターだけ摘発し、それ以外の詐欺活動は容認する姿勢を示した。その結果、犯罪組織はアメリカなどの裕福な国を標的にすれば、リスクを抑えて高収益を得られると判断した」と記している。

東南アジアでの中国犯罪ネットワークの拡大は、中共の「一帯一路」構想と連動している。

報告書は、「一部の悪名高い犯罪組織は、『一帯一路』のインフラプロジェクトに多額の資金を投じ、カンボジアやタイ=ミャンマー国境地域で詐欺拠点の構築を進めた。一方で、中国の官僚や国有企業はこれらのプロジェクトを後押しして、『一帯一路』の成果としてアピールしているが、実際には越境犯罪と結びついている」と分析している。

日本でも同様の詐欺の被害

近年、カンボジアやタイの国境付近に詐欺グループの拠点が設けられ、日本人を含む詐欺実行犯が摘発される例も増えている。警察を名乗る特殊詐欺の拠点が摘発され、日本人を含む約30人を拘束した事件も発生している。

よく使う手口は、SNS上で「絶対儲かる」と持ちかけられる投資話や、偽の金融商品・暗号資産への投資を勧め、多額の金銭を騙し取ること。

マッチングアプリ上で知り合った相手から投資を勧められ、約6020万円相当の暗号資産を送金してしまった日本の女性がいた。

2024年1~11月期までに、日本で、発生したSNS型投資詐欺の被害認知件数は5900件超、被害総額は数百億円規模に上る。

詐欺対策意識向上が必要

USCCは、アメリカの詐欺対策が現在分断され、資源も不十分であることから、効果的な啓発や協力的な摘発がなければ損失がさらに拡大すると警鐘を鳴らした。

報告は、詐欺センターを運営する中国系犯罪組織が高度な技術を持ち、複数のテクノロジーを駆使して被害者を勧誘し、追跡を逃れていると認定した。

詐欺師らはソーシャルメディアや出会い系アプリを通じてターゲットに接近し、接触後は暗号化メッセージアプリに連絡を移行させて追跡リスクを減らしている。

詐欺活動では、翻訳ソフト、生成AIチャットボット、AIフェイススワップなどの先端技術が広く利用されている。信頼関係を構築した後、詐欺師たちは自ら管理する金融口座に絡めて投資話を持ちかけ、被害者に出資させている。

詐欺師たちは暗号メッセージアプリ上で宣伝されているマネーロンダリングサービスを活用し、窃取した資産を何千ものデジタルウォレットに分散送金し、最終的に正規の経済圏に資金を移すことで資金洗浄を行っている。

専門家は、誰もが常に警戒心を持ち、SNSや出会い系サイト上で「投資」「仮想通貨」「楽して稼ぐ」などの甘言に直面した際には、軽信しないことを強く勧めている。結論として、「うまい話には裏がある」「ネット恋愛にご用心」という基本的な認識が、詐欺被害を防ぐ第一歩である。

インターポール(国際刑事警察機構)は6月30日付の声明で、人身売買によって設立した詐欺センターが活動範囲を東南アジア以外にも広げ、中東、西アフリカ(新たな拠点地域)、中米を含む世界各地でネット詐欺センターが増加している状況を明らかにした。