北朝鮮派兵、NATOが確認 参戦なら米は兵器使用に新制限課さず

2024/10/29
更新: 2024/10/29

Phil Stewart Andrew Gray

[ワシントン/ブリュッセル 28日 ロイター] – 北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は28日、ロシア派兵された北朝鮮軍部隊がロシア・クルスク地域に配備されたことを確認したと明らかにした。米国防総省は、北朝鮮が戦闘に加わった場合、米国はウクライナによる米兵器の使用に新たな制限を課さないと発表した。

ルッテ氏は北朝鮮のロシア派兵に関し韓国政府の代表団から説明を受けた後、「ロシアと北朝鮮の軍事協力の深化は、インド太平洋および欧州大西洋地域の安全保障の両方にとり脅威」と述べた。[nL6N3M40H7]

バイデン米大統領は、ウクライナの戦闘での北朝鮮軍部隊によるロシア支援は「非常に危険だ」と述べた。

米国防総省は北朝鮮軍兵士1万人が訓練のためロシア東部に派遣されていると推定。先週に発表した3000人から推定値を引き上げた。[nL6N3M40J4]

同省のシン報道官は「兵士の一部は既にウクライナ近くにおり、ロシアがこれらの兵士を戦闘に投入したり、ウクライナ国境に近いロシアのクルスク州で戦闘作戦を支援したりする意図があるのではないかとの懸念が高まっている」と述べた。

ウクライナ軍情報局は先週、ロシアで訓練を受けた北朝鮮部隊の一部がクルスク州に既に配備されたとの見方を示した。

だが、シン報道官は「(北朝鮮部隊は)クルスク方面に進んでいる可能性が高い。しかし、今のところ詳細は分からない」と述べるにとどめ、確認を控えた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、北朝鮮の派兵はロシアによる緊張激化だと非難した。

ウクライナのシビハ外相は、同国政府がここ数週間、北朝鮮の派兵を巡り警告していたものの、同盟国から強い反応はなかったと批判。Xへの投稿で「NATO事務総長はようやく確認した。ウクライナの声に耳を傾けることが肝心だ。ウクライナによる対ロシア長距離攻撃に対する制限を今すぐ解除することが解決策だ」と述べた。

ロシアのプーチン大統領は24日、北朝鮮がロシアに部隊を派遣していることを否定せず、北朝鮮とのパートナーシップ条約をどう運用するかはロシア次第だと述べた。

また27日には、ウクライナが西側諸国から供与された長距離ミサイルでロシア領の深部まで攻撃するのを米国やNATO加盟国が支援した場合の対応を、ロシア国防省が検討しているとして西側諸国をけん制した。[nL6N3M303H]

これまでのところ米国がロシア領深部への攻撃を認める兆候はない。

北朝鮮外務省関係者は、ロシアへの派兵に関する報道を確認しなかったが、そうした事実があるとすれば、国際的な規範に沿った行動だとの考えを示した。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は29日、崔善姫外相がロシア訪問のため28日に平壌を出発したと報じた。過去6週間で2度目のロシア訪問となる。[nL6N3M40LZ]

ルッテ氏は北朝鮮の派兵について、ロシアのプーチン大統領の「絶望が高まっている」兆候だとも指摘し、「プーチンの戦争でロシア軍兵士60万人超が死傷しており、外国の支援なしにはウクライナへの攻撃を継続することはできない」という認識を示した。

ウクライナのイェルマーク大統領首席補佐官は、制裁のみでは北朝鮮の関与に対する十分な対応にはならないと強調。「北朝鮮の関与拡大を防ぐための武器と明確な計画」が必要だと訴えた。

Reuters
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