バイデン大統領、米大統領選から撤退表明 後継に「ハリス氏支持」

2024/07/22
更新: 2024/07/22

[ワシントン/リホーボスビーチ(米デラウェア州) 21日 ロイター] – バイデン米大統領は21日、米大統領選挙から撤退する意向を表明し、ハリス副大統領を民主党の大統領選候補として支持すると述べた。

81歳のバイデン氏は6月下旬に行ったトランプ前大統領とのテレビ討論会で精彩を欠き、民主党内から撤退を求める声が広がっていた。

バイデン氏はXに投稿した声明で「大統領として働けたことは私の人生で最高の栄誉だ。再選を目指すつもりだったが、身を引き、残りの任期を大統領としての職務を全うすることだけに集中することが、(民主)党と国にとって最善の利益であると信じている」と述べた。

この声明ではハリス氏に言及していなかったが、数分後にハリス氏への支持を表明。

「カマラ(・ハリス氏)が今年の党の候補者になるよう全面的に支持したい」と述べ、支持者にハリス陣営への寄付を呼びかけた。

59歳のハリス氏が正式指名されれば、主要政党の大統領候補として米史上初の黒人女性となる。カリフォルニア州司法長官、上院議員を務めた同氏は、前回大統領選でバイデン氏と党の候補指名を争い敗れていた。

ハリス氏は声明で「この指名を勝ち取るつもりだ」と表明。「民主党を団結させ、そして国を団結させ、ドナルド・トランプを倒すために全力を尽くすつもりだ」と強調した。

民主党全国委員会のジェイミー・ハリソン委員長によると、近く次のステップと指名プロセスについて党が発表することになると述べた。現職大統領が党指名を断念するのは半世紀以上ぶり。

共和党大統領候補のトランプ氏は21日、バイデン氏の撤退表明を受け、バイデン氏よりもハリス氏の方が負かしやすいとの認識を示した。

<今こそ団結を>

バイデン氏は声明で、米経済の強さを指摘し、社会保障制度や気候変動問題への取り組みなど挙げた。

その上で「国民の皆さんがいなければ、これらは成し遂げられなかった」とした。100年に一度のパンデミックと大恐慌以来最悪の経済危機を力を合わせて乗り越えたと指摘。民主主義を守り、維持し、世界で同盟関係を活性化し、強化してきたと述べた。

今週中に国民に対し、自分の決断についてさらに詳しく話す予定だとした。

ハリス氏について、「2020年の党候補者としての私の最初の決断は、カマラ・ハリス氏を副大統領候補に選ぶことだった。それは私が下した最高の決断だった。今日、私はカマラ氏が今年の党の候補者となることを全面的に支持する」と表明。「民主党の皆さん、今こそ団結してトランプ氏を倒す時だ。ともに頑張ろう」と述べた。

バイデン氏への撤退圧力は先週になって勢いを増し、 党議員の36人が公にバイデン氏に再選を断念するよう求めていた。

議員からは、大統領選で敗れるだけではなく、議会多数派も上下両院で共和党に譲り渡す恐れがあると懸念する声が出ていた。

ロイターとイプソスがトランプ氏の銃撃事件後の15─16日に行った世論調査によると、仮にハリス氏がトランプ氏と争う場合、支持率は44%で拮抗。同じ調査でトランプ氏はバイデン氏を2ポイントリードする結果が出た。

<共和党は法的措置示唆>

撤退表明したバイデン氏について、共和党からは直ちに辞任すべきだとの声が上がった。辞任すれば副大統領のハリス氏に職務が引き継がれ、共和党のジョンソン下院議長が大統領継承第2位の地位を得る。

ジョンソン氏は21日、バイデン氏の撤退表明前に「大統領選に出馬できないなら、今どうやって国を統治できるのか。現政権の任期はあと5カ月残っている。これは非常に懸念すべきで、国にとって危険だ」とCNNに述べた。

またジョンソン氏はABCで、共和党はバイデン氏を候補から外す民主党の動きに対し法的措置を取る可能性を示唆した。

Reuters