米上院、「EV充電器規則の一時免除」無効にする決議案可決 中国念頭に

2023/11/10
更新: 2023/11/10

米上院は8日、バイデン政権が政府出資の電気自動車(EV)充電器に対する「バイ・アメリカン」条項の一部免除を認めた決定を覆す法案を50対48で可決した。法案立案者は、免除は対中依存を深めるとしているが、ホワイトハウスは拒否権を発動する意向を示している。

この法案は、米連邦道路管理局(FHA)が2月に承認した、連邦政府が資金提供するEV充電ステーションの国内生産に関する要件の一部について、一時的な免除を認める決定を覆すもの。法案は共和党のマルコ・ルビオ議員やリック・スコット議員など4人が今年はじめに発表した。

法案は下院で審議・採決された後、バイデン大統領のもとに送られる。

「バイ・アメリカン」条項は、EV用充電器などの連邦インフラ計画に使われる建設資材の少なくとも55%を国内から調達し、2024年にはすべて米国内で製造することを義務付けている。

しかし、EV用充電器に対する世界的な需要の高まりなどを理由に、FHAは2024年7月まで55%という要件を一時的に免除する決定を下した。

EVインフラ法の総予算は75億ドル(約1兆1351億円)で、うち50億ドル(約7567億円)が各州政府にEV用充電器ネットワーク設定のために配布されることになっている。

中国への懸念

FHAは一時免除について「EV充電器の取得と設置を直ちに進めることができるため」としている。

しかし共和党議員らは、この免除により米国の対中依存度を高めるほか、米国民の税金が中国製のEV用充電器に使われることになると、懸念を示した。

ルビオ氏は採決に先立ち、上院議場でのスピーチで「EV用充電器に充てられる予定の50億ドルのうち、大半が中国企業に使われる見通しだ」と発言。「多額の税金を費やしてEV用充電器ステーションを建設するのであれば、米国内の米国人が米国製品を使って建設すべきだ」と訴えていた。

バイデン氏は決議案に拒否権

一方でホワイトハウスは8日、決議案はかえって国内の製造業と米雇用を損なうとして、拒否権を行使すると宣言した。

ホワイトハウスは声明で「この決議案は、FHAの決定を覆すことで、『バイ・アメリカン』条項を弱め、連邦政府からの資金(インフラ法の75億ドルを含む)が、中国のような敵対的国家で製造された充電器に使われることを可能にする」と述べた。

「もし大統領は法案(S.J. Res.38)を提示されたら、拒否権を行使するだろう」

エポック タイムズのニュースライター。主に米国、世界、およびビジネス・ニュース担当。