中国各地で「子供の深刻な肺炎」が急増 病院は大混雑、屋外の木の枝で点滴も

2023/10/19
更新: 2023/10/19

中国各地の病院が、昼夜を問わず大混雑している。なかでも、深刻な肺炎を発症した児童患者が爆発的に増えており、各地では病床が足りず、十分な医療が行えない危機的な状況が続いている。

病院に患者が殺到している原因について、中国当局は「マイコプラズマ肺炎(中国語:支原体肺炎)やA型インフルエンザ(甲流)のため」と主張するのみで、新型コロナによる感染拡大とは一切言っていない。

こうした当局の主張に対して、民衆のなかには「政府が再び隠蔽しているに違いない」「本当は新型コロナだろう。また呼び名を変えただけだ」と疑う声も多い。

昨年12月初め、中国当局はゼロコロナ政策を突然解除した。その後の中国におけるコロナ感染の現状はどうなっているのか、ほとんど伝えられることはない。

本当にコロナ感染が落ち着いたのか、あるいは、当局の厳しい情報封鎖によって真相が伝えられないのか。「隠蔽」と「嘘」がお得意である中国共産党の統治下では、中国国内の感染状況は非常に不透明だ。海外においては、時折ネット上に流出する中国市民の投稿から、その一端を伺い知ることしかできない。

この数日の間にも、北京、上海、蘇州、南京、鄭州、湖南省など各地の児童病院(小児科)で「マイコプラズマ肺炎(中国語:支原体肺炎)」と診断される児童患者が爆発的に増えている。

なかには、呼吸困難がひどく、酸素吸入を必要とするような「白肺(バイフェイ)」と呼ばれる深刻な病状の児童も多い。「白肺」とは、肺が重度の炎症を起こしているためレントゲン画像に白く映る状態を指す。

北京市疾病予防管理センター(CDC)によると、同市では、現地当局のいう「マイコプラズマ肺炎」が流行中で「11月にピークを迎えることが予想される」という。

北京市の児童病院が大混雑する様子を示す動画は、SNSにも多数投稿されている。それによると、昼夜を問わず、病院内や点滴室は人があふれかえっている。

ある北京市民は「週末の場合、北京の児童病院で診察を受けるのに、平均して少なくとも6時間はかかる。親も子供も非常に長い時間待たされる状態だ。対応する医師も、本当に大変だろう」と明かした。

また、ある動画のなかでは「うちの子供は高熱が続いている。しかし病床に空きがなく、入院できない。肺の洗浄は月末(10月31日)まで予約がいっぱいだという。あと半月、私の子供はどうしたらいいのかわからない」と焦る親の姿があった。

北京だけでなく、上海や蘇州など、各地の児童病院も同じく大混雑している。

蘇州の市民が撮影した動画によると「夜8時になっても、急診を待つ列は病院のドアまで続いている」「夜9時、診療待ち人数が数百人」「夜12時になっても、院内は人であふれかえっている」というように、非常に困難な状況が伺える。

また、病院内には座る場所もないのか「屋外の木の枝」に点滴瓶を吊るし、点滴を受ける子供も少なくない。

河南省鄭州の児童病院に子供をつれてきたある親によると「朝5時に外来に来た。それから順番待ちをして、入院できるまで3日かかった」という。入院といっても、病室のベッドではなく、院内の廊下におかれたベンチに横たわるしかない子供もいる。

河南省の小児科医である劉玉慧氏によると、「毎日、外来でくる患者数は約800人。とにかく病床がない。患者の8割がマイコプラズマ肺炎に感染している」という。

別の小児科医である戚家峰氏は、動画のなかで「今回のマイコプラズマ肺炎は、特に感染状況が深刻で急を要している。しかも、明確な兆候がなくても急に重症化する。感染した子供のなかには、発熱の症状がなくても、咳が出始めてから3~5日で白肺になる」と明かした。

マイコプラズマ肺炎は子供に限らず、大人であっても感染する。感染状況は、今後も深刻化する恐れがある。

 

(北京の児童医院の様子)

(上海の児童医院の様子)

(上海の児童医院の様子)

(蘇州の児童医院の様子)

(南京の児童医院の様子)

(鄭州の児童医院の様子)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。