中国不動産で「国進民退」加速 販売上位10社の9社を国有系が占有

2026/08/18
更新: 2026/08/18

中国の不動産市場で、国有企業・中央企業が販売と土地取得の両面で存在感を強めている。2026年1~7月の販売額上位10社では国有系が9社を占め、民間企業は浜江集団のみとなった。資金調達力と政策支援を背景に進む「国進民退」が、不動産危機後の業界再編を映している。

2019年には、上位10社のうち6社が民間企業だった。碧桂園、万科、恒大、融創は1~4位を占めていたが、業界の勢力図は大きく変わった。

中央企業や国有企業は、高い信用格付けや低い資金調達コスト、政策面での支援を背景に、販売と土地取得で優位に立っている。一方、民間デベロッパーは、債務負担や資金調達の難航、住宅需要の低迷によって事業縮小を迫られている。

販売額上位10社、国有系が9社を占める

中国不動産指数システム(中指雲)によると、2026年1~7月の販売額上位10社は、保利発展、中国海外発展、華潤置地、招商蛇口、緑城中国、建発房産、中国金茂、越秀地産、浜江集団、万科地産の順である。

9位の浜江集団が唯一の民間企業で、残る9社は中央企業または地方国有企業である。

不動産調査会社CRICなどの資料によると、2019年の販売額上位10社では、中央企業・国有企業は4社にとどまり、民間企業が6社を占めていた。

新浪財経は、中国の大手不動産企業では、所有形態による二極化が進んでいると指摘する。中央企業・国有企業の勢力が拡大する一方、その他の企業は市場シェアを失っているとしている。

国有企業が資金調達で優位に立つ理由

不動産市場が低迷するなかでも、中央企業・国有企業が事業を拡大できる理由の一つは、民間企業より低いコストで資金を調達できることにある。

中央企業・国有企業は民間企業には調達が難しい低金利の資金を確保でき、それが事業拡大につながっている。

中国の『証券時報』が8月15日に報じたところによると、企業向け融資と個人住宅ローンの加重平均金利は、従来の約5~6%から現在は約3%まで低下した。5年物AAA級企業債の利回りも、約4~5%から約1.8%へ低下したという。

保利発展、中国海外発展、華潤置地、招商蛇口、緑城中国などの大手中央企業・国有企業は、総じて高い信用格付けを維持しており、有利な条件で資金を調達しやすい。

WINDのデータによると、一部の主要な上場不動産企業では、資金調達コストが2.5%を下回っている。招商蛇口は1.86%、陸家嘴集団は1.88%、中国中鉄は2.04%、中国鉄建は2.11%、保利発展は約2.24%である。

これらの企業の多くは中央企業または地方国有企業で、高い信用格付けが資金調達での優位性につながっている。

中央企業・国有企業の事業拡大は、当局が不動産市場の安定を重視していることとも関係している。これらの企業は市場低迷期にも土地を取得し、地価の安定や住宅の確実な引き渡し、不動産市場の下支えに寄与している。

土地取得も国有系が主導、市場を下支え

2026年1~7月の土地取得額ランキング上位10社でも、浜江集団は7位に入り、唯一の民間企業となった。残る9社はいずれも中央企業または国有企業である。

保利発展は580億元(約1兆3746億円)で首位となり、華潤置地は410億元(約9717億円)で2位、地方国有企業の越秀地産は296億元(約7015億円)で3位となった。

『新京報』によると、2026年上半期の土地市場では、中央企業・国有企業の競争が激しくなり、ランキングから姿を消す不動産企業も増えた。

6月には保利発展が105億1000万元(約2491億円)で、深圳市宝安中心区の土地を取得した。これにより、同社は土地取得額首位の座をさらに固めた。

金地集団に見る民間不動産企業の苦境

かつて招商蛇口、保利発展、万科とともに業界大手の一角を占め、「招保万金」と呼ばれた金地集団は、民間デベロッパーの苦境を示す存在となっている。

風口財経によると、金地集団の2026年7月の販売額は前年同月比41.86%減となった。上半期の損失は約30億元(約711億円)に達した。

本社を深圳に置く同社は、混合所有制の性格を持つ民間デベロッパーで、国有資本に支配される企業ではない。

普睿のデータによると、2026年7月の中国不動産大手100社の単月販売額は1963億元(約4兆6533億円)で、前年同月比13.3%減、前月比39.6%減だった。

金地集団の販売額の減少率は業界平均のおよそ3.2倍に上り、2026年上半期の大手100社ランキングでは36位まで下がった。

金地集団はなお「中国企業500強」に入っているが、順位は2024年の212位、2025年の241位から、2026年には401位へと下落した。

恒大などのように急激な経営危機に陥った民間企業と比べれば、金地集団の低迷は緩やかである。しかし、中央企業・国有企業が事業を拡大するなか、民間デベロッパーが業界内での地位を失いつつある状況を示している。

中国不動産市場は国有主導へ転換するのか

中国共産党政権は2020年、不動産企業の負債指標を対象とする「三つのレッドライン」政策を導入した。基準を満たさない企業には借り入れ制限が課され、その後、不動産企業の債務不履行が相次いだ。

債務危機は2021~2022年に集中的に表面化し、累計で70社以上の不動産企業が債務不履行に陥った。債務処理の規模は5兆元(約118兆4700億円)を超えたとされる。

恒大や融創などの大手民間企業が相次いで経営危機に陥り、工事が中断された住宅や債務問題の連鎖、市場の信認低下は、現在も中国経済に影響を及ぼしている。

金融機関の融資も、信用格付けの高い中央企業・国有企業へと明確に傾くようになった。

中国共産党中央は2024年7月、既存住宅在庫の消化と新規供給の最適化を掲げた。売れ残り住宅を買い取り、保障性住宅に転用することや、住宅の確実な引き渡しを支援すること、不動産業界の新たな発展モデルを構築することを打ち出した。

地方政府が土地売却収入への依存を強めている。民間デベロッパーが土地取得を大幅に減らすなか、中央企業・国有企業は実質的に地価を下支えし、土地価格の下落を抑える役割を担っているという。

中国の不動産市場では、民間企業と国有系企業の立場が大きく入れ替わっている。

呈工