景気後退の中、中国共産党の脅威が増す

2023/10/14
更新: 2023/10/14

米国と中国が「超大国マラソン」競争を繰り広げているとよく言われるが、両国の関係は、専門家によれば、2020年代に最も危険な時期に入るだろうと言われている。

マイケル・ベックリー氏はタフツ大学の政治学の准教授であり、アメリカン・エンタープライズ研究所の客員研究員、外交政策研究所のアジアプログラムのディレクターでもある。

ベックリー氏とジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院のハル・ブランズ教授は『危険地帯:中国との来るべき対立』を共著した。

2人は本の中で、中国は大国として最も危険な時期に入ったと指摘した。

というのも、中国は世界の秩序を破壊し、東アジアの領土の現状を変える力を持っている。経済減速に見舞われ、徐々に台頭の自信を失って来ているが、「台頭する大国が次第に衰退し、自らの野望を直ちに実現しなければ永遠にその機会を失うと認識したとき、彼らは最も侵略的(最も危険)になるに違いない」

中国共産党(中共)はすでにこの道を歩み始めている。台湾に対する中共の脅威、記録的な軍事化、将来の主要技術をめぐる競争への取り組みは、すべてこれを証明している」と著者らは述べた。

「ピークチャイナの危険性」という文章の中、人々は、景気後退が中共の野心を弱める可能性があると考えているが、ベックリー氏は、中共は逆に運命を変えるためのより強硬な手段を取る可能性があると反論した。尻に火が付けば何をするかわからない、ということだ。

「International Security」に発表した研究で、ベックリー氏は過去150年間に急速に成長している大国が長期的な経済減速を経験したすべての事例を分析した。これらの「ピークを迎えた大国」のほとんどは、「国内での異議を抑圧し、同時に海外で拡大してライバルを撃退し、領土を手に入れるために海外へと進出した」と分析している。まさに今の中共がそうだ。

経済成長は鈍化しているが、まだ止まっていない「ピークを迎えた国」は、「国際秩序を揺さぶる手段と動機の両方を持っている」ので、最も危険な国なのだ。まして、独裁国家の中国はまさにその一例になりえる。独裁者、習近平が、いったい何をするのか? 彼がまともな人間だとは誰も思わないだろう。

「2010年代、中国の経済成長率は半分以下に低下し、生産性はマイナスに転じ、債務は29兆ドル(世界経済全体の3分の1を超える金額)に急増した。これに応じて、中国は『平和的台頭』を放棄し、より積極的な重商主義的拡張活動を展開した」

「重要な資源を確保し、中国の輸出需要を刺激するために、対外直接投資を3倍、海外融資を5倍に拡大した」

「投資を保護するために、中国は戦力投射能力を高め、第二次世界大戦後どの国よりも早く軍艦を大量生産し、主要な貿易ルートに沿って軍艦を収容できる港を開発した。また、南シナ海の海域を軍事化し、係争中のシーレーンから近隣諸国を追い出すため、艦船体当たり攻撃や航空阻止をたくさん行った」

ベックリー氏は中国政府の文書、エリートの発言、および中国の海外契約や軍事投資を評価した。これらの拡張行動の動機が、少なくとも部分的に中国の経済的な困難によって駆り立てられたこと、もし今後数年で中国が停滞することになれば、これから更なる拡張行動が起こるかもしれないと結論づけた。

同氏によれば、経済が低迷している中国は、「経済的なはけ口を切望しており、軽蔑や挫折に対して激しい拒絶反応を示す傾向にある」

ベックリー氏は、米国の外交政策が直面している課題は、中共の拡大を抑制することだと主張している。

「米国は至る所で中国に対抗する必要はない。重要なのは、中共の軍事的・経済的侵略を弱めることだ。現在は最も危険な瞬間だ。なぜなら、中国は東アジアの領土現状を含む世界秩序の重要な側面を破壊するのに十分な強さを持っているが、現在の秩序下で、自身の位置に安心したり満足したりすることはないからだ」

「中国の台頭が終わりを迎える中、米国は安心感、被害抑制を高度に組み合わせて中国の侵略に対処しなければならない」と彼は付け加えた。

吳香蓮