2008年5月12日の現地時間14時28分。四川省汶川県を震央とする巨大地震、四川大地震が発生した。
今年5月、甚大な被害を出した震災から15周年を迎えるにあたり、中国メディアの「新浪新聞」は四川大地震災害被害に対する海外各国からの「義援金ランキング」を発表した。しかし、同リストのなかには、多額の寄付をした「香港・マカオ・台湾」の地名が、いずれも明記されてないことが判明した。
なぜ出せない「香港・マカオ・台湾」の寄付額
このうち、香港からの義援金の額はダントツの1位で、公表されたリストのうち、上位10カ国の総額である13億元の15倍よりも多い200億元(人民元)とされている。
そのほか、台湾(15.2億元)やマカオ(50億元)も多額の寄付をしていたが、今回のリストにその地名は入れられていない。
米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、中国SNSウェイボー(微博)で「香港が200億元寄付した」という話題についてシェアした中国のネットユーザーに対して「アカウントの発言禁止、7日間」など、複数の処分がなされていたことがわかった。
アカウント処分の理由は「デマを広めたから」という。その根拠について、ウェイボー(微博)は「2009年9月末までの香港、マカオ、台湾からの寄付額が、合計33.5億元だったから」としている。
しかし、香港からの寄付金の総額が200億元だとする確かなデータも残されている。当時(香港をふくむ)中国全土からの寄付総額は650億元だったが、香港からの寄付額は、その3分の1を占めていたことになる。
たとえ中国政府が「香港・マカオ・台湾」を国内として扱ったとしても、それらの寄付金額が、中国の他の地域に比べて突出していることは明らかである。その事実を「目立たなく」する当局の意図があったかは定かでないが、寄付実績を「国内」のものとした可能性は高い。
寄付金の8割「500億元が使途不明」
今から15年前の2008年5月12日。現地時間の14時28分に、中国四川省の汶川県を震源とするマグニチュード8.0クラスの巨大地震が発生する。
この地震による犠牲者数は、中国の公式な数字としては「約7万人が死亡。約1万8千人が行方不明」とされるが、あまりにも甚大かつ広範囲にわたる被害であるため、政府も実際の数を把握できず、また政治的意図により発表もされていない。そのため、その正確な数は「公式発表を上回る」と見るしかない。
甚大な被害を出した四川大地震から15年を数える今年も、人的被害を拡大させた建物の手抜き工事、いわゆる「おから工事(豆腐渣工程)」の問題も含めて、その責任を問う声は続いているが、震災悲劇の風化を願う当局は、震災で子供を亡くした親たちの「口封じ」に躍起になっている。
また巨額の義援金の行方については、中国メディア「財経網」は2016年に関連記事を掲載しているが、今では削除されている。
「財経網」の当時の報道は民政局の資料を引用して、「全国の寄付650億元のうち詳細な使用用途を公表したのは23%(151億元)だけ。残りの約500億元の使用用途は不透明だ」と指摘している。つまり、義援金の8割、約500億元が「使途不明金」になっていることになる。
当時、日本でも、被災地の救援と復興に役立ててもらうため多くの企業や個人が募金活動を行い、多額の義援金を集めて中国へ送った。
しかしSNS上には、日本からの義援金の使途も含めて、「本当に末端の被災者に行き届くまで(義援金が)有効活用されていたかについては、疑問がある」という日本人ユーザーの指摘は少なくない。
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