中国経済、統計上だけの「好景気」か データ改ざん疑惑が再燃

2022/04/27
更新: 2022/04/27

中国経済は厳格なゼロコロナ政策、不動産市場の低迷悪化などで下押し圧力が高まっているにもかかわらず、当局の発表では「安定したペースで」成長している。経済学者の間では、当局によるデータ改ざんへの疑念が再燃した。

中国国家統計局が18日に発表したデータによると、今年第1四半期の中国の国内総生産(GDP)は270兆178億元(1元=約19.7円)で、前年同期比4.8%増となった。当四半期の産業別の付加価値額は前年同期比6.5%増加した。

米シンクタンク、大西洋評議会のアジア安全保障イニシアチブ上級研究員で、『中国資本主義の神話』の著者であるデクスター・ロバーツ(Dexter Roberts)氏はこのほど、米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に対し、「今回のGDPの数字があまりにも高いので、世界中の経済学者は一斉に『おかしい!この数字はつじつまが合わない』と疑問を呈している。彼らはこの統計の信頼性を本当に疑っているのだ」と述べた。

ロバーツ氏によると、いくつかの数字が矛盾している。例えば、セメントと鉄鋼製品は第1四半期に弱含みとなったが、固定資産投資(建設、土地、インフラ、設備)への支出は同期間に9.3%増加した。「中国共産党政権は、高いGDPの追求とパンデミック対策の成功にその正統性を賭けている」と同氏は指摘する。

台湾経済研究院マクロ経済予測センターの邱達生副主任は、「改ざんできる数字とできない数字がある。例えば、輸出入の数字を改ざんすれば、他国の数字と整合性がとれなくなる」と述べた。

野村ホールディングスのエコノミストらは、「現在、中国では45の都市が全面的または部分的に封鎖され、人口の約4分の1に影響を与え、中国のGDPの約40%を占めている」と推定している。「中国で景気後退のリスクが高まっている」と結論づけた。

貿易や投資などの関係者は、より詳細なデータを用いて中国経済の実態を把握しようとしている。フランスの投資銀行ナティクシス(Natixis)のアジア太平洋地域チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ(Alicia Garcia Herrero)氏は、貿易、製造、日常消費、失業に関する月次データは、四半期ごとの工業付加価値やGDPの数値よりも重要な情報を含んでいるとVOAに語った。「月次データは、GDPよりはるかに状況が悪いと示している。消費面は特に問題が大きい」と強調した。

海外メディアや投資家は、以前から中国の公式経済データに懐疑的である。 その最大の理由は、他国と異なり、中国の四半期ごとの経済データが常に「安定的な成長」を示しているからである。そして、地方政府が公表するデータの合計が、中央政府の公表するデータよりも大幅に多いことである。2004年の各地方政府が中央政府に報告した通年のGDPを取りまとめた数字は、国家統計局が発表したGDPの伸び率に比べて3.9%も高かった。この差は2兆6582億元(約34兆7400億円)だったという。

実際、改ざんを認めた地方政府がある。遼寧省は2017年1月、2011~14年に財政データの改ざんが行われていたことを認めた。

(翻訳編集・王君宜)