ドイツの老舗エンジンメーカーのMTUフリードリヒスハーフェン社は、2020年まで中国の防空ミサイル駆逐艦などにディーゼルエンジンを供給していたことが、わかった。ドイツ公共放送連盟、ディ・ヴェルト誌が報じた。
同社がエンジンを提供したのは、中国海軍の最新型区域防空(エリアディフェンス)駆逐艦「052D型防空ミサイル駆逐艦(NATOコードネーム:旅洋III型)」のほか、同052シリーズの052A/052B/052C、039型攻撃型潜水艦などとみられる。
MTUは、このタイプのディーゼルエンジンは特別な輸出許可を必要としない軍民両用物資であると釈明している。中国国防部や中国軍と直接、契約を結んだことがないと強調した。契約は同社の取引先または公認ディーラー経由で行ったとみられる。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、中国海軍の最新型軽型護衛艦「056型コルベット」は、中国メーカーがライセンス生産する仏国のSEMTピルスティク社のディーゼルエンジンを搭載している。SEMTピルスティク社は後にドイツのMANディーゼル社の子会社に合併された。
MANとMTUの経営陣は10年前まで、中国軍艦へのディーゼルエンジンの供給について躊躇なく認めていた。対中武器禁輸措置はEUの正式な決議ではないため、その法的効果は限定的なものだからだ。
SIPRIの軍備専門家のジーモン・ウェゼマ氏は、軍民両用物資の輸出は現行の法律では「グレーゾーン」に該当しているが、軍事用だと分かっていながら中国に輸出する企業の倫理観に疑問を呈した。
グリーンピースの軍縮専門家であるアレクサンダー・ルルツ氏は、ドイツ新政権は従来のやり方を見直すべきだと進言した。「戦争または武器製造に使われる可能性のある物資を、すべて輸出禁止すべきだ」とした。
(翻訳編集・叶子静)
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