トランプ米大統領は15日、中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)を米市場から締め出す行政命令に署名した。行政命令は、情報・通信ネットワークやその技術、関連サービスに対する「敵対的な外国勢力の脅威」は国家緊急事態だと宣告した。同行政命令は、米企業が国家安全保障にリスクをもたらす外国企業の通信製品を購入することを禁じる。大統領は署名した後、商務省と他の関連政府機関に対して、150日以内に執行計画をまとめるよう命じた。
同日夜、米商務省の産業安全保障局(BIS)は、米の対イラン制裁に違反したとして、今年1月、ファーウェイとその子会社を起訴したことを受けて、ファーウェイを「エンティティリスト」に追加したと発表した。
ブルームバーグ16日によると、商務省は声明で、「エンティティリストに載せられた企業や個人が米企業の技術の購入と移転をする場合、特別な許可の取得が必要となり、その技術の購入と移転が米の国家安全保障や外交政策上の利益に反する場合、許可の申請を却下する」とした。米企業によるファーウェイへの部品供給を事実上禁止した。
部品供給ストップか
昨年11月末から12月初めまで、「北京青年報」などの中国メディアが相次いで、ファーウェイが公表した同社の「核心的なサプライチェーン・リスト」について報道した。リストによれば、ファーウェイの主要部品調達先は92社で、うち33社が米国企業だという。他に、中国国内企業22社、台湾企業10社、日本企業11社、ドイツ企業が4社とその他の国・地域の企業12社などがある。
中国メディアは、ファーウェイは日米企業からの部品供給に強く依存していると指摘した。
「日本経済新聞」電子版16日によると、ファーウェイは2018年、日本企業から購入した部品などの総額は60億ドル(約6613億円)にのぼる。ソニー、パナソニック、京セラなど8社がファーウェイの主要部品調達先だという。
ロイター通信16日付によると、2018年ファーウェイは部品調達のために約700億ドル(約7兆7148億円)を費やした。このうちの110億ドル分(約1兆2123億円)の部品は、クアルコム、インテル、マイクロン・テクノロジなどの米半導体大手から購入した。
情報筋がロイター通信に対して、米企業の部品輸出禁止で、ファーウェイは将来数年間、その代わりになる部品調達先を見つけることができず、ファーウェイの経営は完全に傾く可能性が高いと述べた。
ファーウェイに半導体チップを提供する企業の責任者は、米企業による部品供給を得られないファーウェイは今後、ネットワークサーバーや通信設備を製造できなくなるとした。
政治リスクを分析する米調査大手、ユーラシア・グループは15日に発表した調査報告書で、米政府の輸出禁止措置によって、ファーウェイは米企業から核心的なソフトウェアとハードウェアを獲得できないため、同社の移動通信インフラ設備と携帯電話事業に大きなダメージを与えると指摘した。また、部品供給がストップされるファーウェイは、現有のソフトウェアをグレードアップすることがないほか、顧客に対してハードウェアの交換サービスや他のメンテンナンス・サービスも提供できなくなるという。
報告書は、「ハイエンドのスマートフォン・モバイルインフラ、データセンター、クラウドサービスを含むほぼすべてのファーウェイ製品に打撃を与える。ファーウェイの製品またはサービスを利用するすべての企業に世界規模で影響を及ぼす。特に欧州の通信事業者は直ちに影響を受ける可能性がある」とした。
日経アジアレビュー電子版18日によれば、クアルコムなどの米主要サプライヤーはすでに17日にファーウェイへの部品出荷を一時停止した。台湾企業の台湾積体電路製造(TSMC)、フォックスコン(Foxconn)、日本企業のジャパンディスプレイや東芝メモリなどアジアのサプライヤーは、ソフトウェア、知的財産権、材料などは米の技術を使用していて、米の規制に違反する可能性があるかどうかを慎重に調べている
欧州もファーウェイを禁止に?
欧州の専門家は、今後欧州各国はファーウェアへの輸出禁止措置を打ち出した米国に足並みをそろえる可能性が高いとの見方を示した。現在、欧州を除いて、日本やオーストラリアなど各国は米国に歩調を合わせ、各国の5G通信網構築からファーウェイを排除した。
ドイツ銀行の資産運用部門ドイチェ・アセット・マネジメント(DWS)のショーン・テーラー(Sean Taylor)・アジア太平洋地域最高投資責任者は16日、米CNBCの取材に対して、今後欧州各国も、米政府と同様にファーウェイに対する輸出禁止措置を打ち出す可能性があると述べた。
中国5G構築を遅らせる
ロイター通信によると、米証券会社ジェフリーズグループのアナリストは、米政府の制裁措置は「中国の5G政策にとって悪夢だ」と指摘した。中国当局は、来年全国的に5G通信網の構築を展開していくと計画していた。
関係者はファーウェイは過去数カ月、外部による混乱を緩和するために半導体チップの在庫数を増やしたとした。ファーウェイは当初、6~9カ月の在庫を確保するとの目標を掲げたが、現在12カ月、場合によって在庫目標は24カ月までに引き上げられたという。
(翻訳編集・張哲)
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