【大紀元日本5月1日】中央政治局常務委員の周永康氏にとって、まさに泣きっ面にハチ。重慶市元公安局長王立軍による米総領事館亡命未遂事件、重慶市元トップ薄熙来の失脚に続き、盲目の人権活動家陳光誠氏が27日に自宅軟禁から脱出した。ロイター通信は30日、周氏は「三振アウト」の窮地に追い込まれたと指摘した。
陳氏は目が不自由でありながら厳重な警備をすり抜け、2年間続いた軟禁状態から脱出し、現在米政府の保護下にあると伝えられている。
薄氏の一連の疑惑に同氏がどう関与したのか、関心が高まる中、この脱出劇で陳氏への迫害を主導してきた政法(公安、司法)委トップの周氏は再び注目されることになる。
治安、司法、検察などを主管する政法委は武装警察の指揮を執り、司法部長(法務大臣)や最高人民法院院長(最高裁長官)らを束ねる立場で、絶大な権力を持っている。周氏がトップに就任してから、治安維持費の支出が軍事費用を上回るなど政法委を巨大な「弾圧機器」に膨張させた。同記事は陳氏脱出の事件によって「この弾圧機器には明らかに欠陥がある」と指摘した。
米シンクタンク、ブルッキングス研究所ジョン・ソーントン中国研究センターの李成氏は「王立軍の亡命未遂騒動、陳光誠の脱出はいずれも治安維持部門に重大な欠陥があることを物語っている」と述べ、「治安を管轄するトップとして、周永康は逃れられない責任がある」との見解を示した。
薄氏の後ろ盾である周氏をめぐって、薄氏と政変を共謀したとしてすでに調査を受けていると報じられている。「陳氏の脱出によって周氏への批判が高まるのは必至だ」と同済大学国内安全問題専門の謝岳教授はロイターに話した。
政法委の権力膨張は1999年に起きた法輪功学習者による「4・25中南海事件」がきっかけだと言われている。その後、政法委は学習者への取り締まりが強化され、加えて近年頻発する各地の暴動によって、政法委は肥大化する一方だ。しかし、法的手続きを度外視するやり方から、有識者から批判の声が高まっている。「社会安定を維持する政法委は無法状態に陥っている」と専門家は批判している。
人権弁護士の浦志強氏は「各地に陳光誠のような人がいる。彼らが監視・監禁されているが、いかなる法的な手続きもない。まさに権力の乱用そのものだ」と批判した。
陳光誠氏は脱出後に公開したビデオで、地元政法委幹部の話によると、自身への監視のために6千万元の費用が投じられたと語り、治安維持費の膨れ上がりぶりを証明することとなった。この6千万元のほかに賄賂や不正流用があり、実際の費用はこれ以上だと言われている。
浦氏は治安維持部門はすでに巨大な利益集団と化し、次期指導者は政法委の権力を制限する必要があると述べた。すでに69歳の周永康はいずれ第18回党大会で引退する見込みだ。次期政法委トップの座に誰が就任するのか、同記事は土地収用をめぐって警察と対立した広東省烏坎村で民主的選挙を実現させた同省党委書記の汪洋氏が取り沙汰されていると報じた。
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