収入統計に表れない118兆円 中国の金持ちには別財布あり=中国紙

2010/08/16
更新: 2010/08/16

【大紀元日本8月16日】ドバイの超高級7つ星ホテルに泊まる多くの中国人、不動産の「買出しツアー」に日本やアメリカへと世界中に出かける中国人、エルメスやルイヴィトンなどの世界の高級ブランド品を豪快に買い漁る中国人‥‥中国の富裕層は驚くべき勢いで世界中にその金持ちぶりを見せつけている。

一方、月3千円前後の給料アップのために中国各地でデモに奮闘する労働者階層、平均月給1万5千円の大卒「アリ族」‥‥同じ国とは思えない巨大な格差も目を見張るものである。

ここまで格差が大きくなった理由の1つは、中国人の「隠れ収入」の存在であると、12日に中国各メディアで発表された報告で指摘されている。その額は9.3兆元(約118兆円)にも上り、その6割は、最高収入を得ている1割の最富裕層に流れている。さらに1割の高収入組を入れると、隠れ収入の8割は実はトップ2割の富裕層が得ているという。

同研究は、中国経済体制改革基金会国民経済研究所の王小魯・副所長が率いる研究チームによるもの。公的統計に表れない「隠れ収入」の実態を突き止めることを目的としている。

同報告によると、中国08年度の隠れ収入は同年度GDPの約3割に相当する。この巨額の隠れ収入を加味して計算すると、都市部世帯収入上位2割の平均年収は24万元(約304万円)に達し、統計データによる同グループの可処分所得の8.9万元(約113万円)を遥かに上回る。さらに、全国世帯収入上位1割の家庭と下位1割の収入差は統計データでは23倍と示しているが、隠れ収入を加えると、その差は65倍に広がる。

王氏は中国のマイカー市場を例に隠れ収入の存在を説明した。マイカー購入には年間2万元(約25万円)のコストがかかり、通常年収20万元(約250万円)以上の世帯でなければ購入できないと言われている。都市部の上位2割の家庭でも統計の8.9万元(約113万円)ではとても手が届かないはず。ところが08年の中国のマイカー保有台数は2814万台にも達している。隠れ収入を入れた世帯年収24万元(約304万円)で考えると、多くの家庭で密かに愛車購入の能力を備えていたことが窺える。

「隠れ収入」の出所はどこだろう。その過半の5.4兆元(約68兆円)は、権力と地位、独占権益を利用して得た「灰色収入」(合法と非合法の間に位置するグレーゾーンの収入)が占めており、同時に税収体制の不備なども隠れ収入の拡大を助長したと王氏は指摘する。「隠れ収入の存在は貧富の差を一段と拡大させ、収入配分の公平性を著しくねじれさせた」と王氏は報告の最後で結んでいる。

(翻訳編集・張YH)