四川省山崩れで23人死亡 専門家、原因にダム建設を指摘

2010/06/18
更新: 2010/06/18

【大紀元日本6月18日】中国国営新華社通信によると、四川省カンゼ・チベット族自治州康定県で15日未明、山崩れが発生し、23人が死亡、10人が負傷した。四川省地鉱局の地質専門家・範暁氏は、山崩れを引き起こした原因は大規模な水力発電所の建設にあると指摘した。

今回山崩れが起きたのは、康定県金湯郷金康公司の水力発電所建設現場の作業員宿舎の裏。崩れた土砂によって宿舎が埋まり、当時宿舎内にいた34人の作業員のうち、30人が被害に遭った。

現地政府当局によると、約4万立方メートルの土砂が崩れ、作業員が寝ていた宿舎に襲いかかった。山崩れが起きた大渡河支流の金湯河付近では最近豪雨に見舞われ、地盤が緩んでいたのが原因だという。

大渡河は長江水系に属し、流域はほとんどが険しい山岳地帯であるため、流れが急で水量も多い。中国の重要な電源河川としての役割も担っているこの流域は近年、水力発電所建設による山崩れが多発していると、四川省地鉱局の地質専門家・範暁氏は指摘した。

大渡河流域では現在20カ所以上の水力発電所を建設中で、「多くの大規模な工事は山の安定性を揺るがし、大雨の時には山崩れが起こり、人々の命を脅かす」と範氏は話す。

範氏によると、昨年、大渡河流域の猿子岩水力発電所工事現場付近で発生した山崩れでは100人以上の死者を出したという。さらに、8月の漢源で起きた大規模な山崩れでは、40万立方メートルの土砂が崩れ、崩れた土砂はさらに対岸に大きな衝撃を与え、対岸の山崩れまで引き起こした。

また、大渡河流域には四川大地震を引き起こした活断層と同じ活断層が走り、水力発電所の建設は極めて危険であると指摘。「大渡河流域のダムは規模が大きく、貯水量も多いので、その重量が断層を刺激して地震を誘発する危険性が高い」

水力発電所建設は地方政府の財政収入源になることから、建設側と地方政府の両者は利益の面で共同体となる。これが過度のダム建設にも繋がったという。それによって多くのダム移民が生じるが、ダム建設の受益側の地方政府は利益を還元することなく、結果、移民たちは移転後、生活水準の低下を余儀なくされると範氏は指摘する。

(翻訳編集・張YH)