使い捨て?「民弁教師」を全面解雇へ=中国

2010/01/05
更新: 2010/01/05

【大紀元日本1月5日】教育資金及び正規教師の資源が乏しい中国の貧困な農村部では、教員資格を持たない代用教員である「民弁教師」は、子どもの教育に大きく貢献する重要な存在である。しかし民弁教師という言葉は、間もなく歴史となってしまう。1日付の中国新聞ネットは、中国政府が06年に打ち出した「民弁教師をなくす」方針により、今年1月末までに約44・8万人の民弁教師が解雇される見込みだと伝えた。

中国の貧しい農村部では従来、正規教師の数が足りないため、民弁教師が雇われるケースが多かった。民弁教師は「教師法」の定める規定学歴に達しておらず、教員資格や専門技術などがないため、教学水準が低いとみなされ、給料も極端に少ない。放課後には農作業などで副収入を得ながら生活を支えているケースも多い。実質上の職業は農民と規定され、退職金や、年金、健康保険などの社会保障も受けることができない。老後の生活は極めて貧しい。

現行の中国教育システムでは、正規教師1人の給与で、3人から4人の民弁教師の給与を賄うことができる。地方政府の官員が、雇用した民弁教師を正規教師と偽って予算を着服するというケースもしばしば告発されている。また、政府機構が膨れ上がり、人員過剰ぎみの官僚のために行政費用が膨大となり、民弁教師への支払いが少なくなっているという見方もある。

一方、中国教育部は数年前から、教師の資質を高めるために民弁教師をなくしていく方針を示していた。

解雇の条件として、中国政府は民弁教師たちに勤務年数1年につき1千人民元(約13000円)の補償金を支払う。30年勤務した民弁教師は、解雇された時点で3万人民元(約39万円)の補償金を受け取る計算になる。

これについて杭州師範大学教授・岳剛徳氏は「この補償金は労働基準を満たしていない。安すぎる」と指摘した。また、勤続年数に合わせて、民弁教師らも社会保障制度に加入できるよう国が補償するべきだと主張している。

岳教授は、昔は教育経費が十分に組まれていなかったため、給料の安い民弁教師が各地で雇われていたが、今は経費も組まれ、教師の待遇もよくなってきたため、辺鄙な地区の教師でも人気が高まってきたと分析した上で、「だからといって政府の都合で民弁教師を解雇するのは筋が通らない」と話している。

また、湖北省の人権活動家・姚立法氏は「民弁教師は、長年教壇に立ってきたのに使い捨てにされた。法律上も道義上も、筋が通らない話だ」と話す。

(編集翻訳・楊J)