六カ国協議:中国問題専門家、北中韓の行動分析

2006/11/11
更新: 2006/11/11

【大紀元日本11月11日】 北朝鮮がこのほど、日本を六カ国協議から排除すべきと主張し始め、それに対し、米国の政府関係者は、日本なしには六カ国協議は成り立たないと表明した。1997年に北朝鮮から韓国に亡命した元北朝鮮労働党中央委員・黄長イ(火に華、発音ファン・ジャンヨプ)氏は、「米国と日本は中国に対し、北朝鮮に強硬な政策を講じるよう後押しすべき」と提案した。専門家は、この提案を実行するには相当な困難があると示し、韓国の対北朝鮮の「太陽政策」の継続について、自国の安全を考慮した選択であると指摘した。米国VOAが報じた。

北朝鮮外務省の報道官は11月4日、会談の効率を上げるためには、日本は六カ国協議に参加すべきではないと発言した。それに対し、米国国務省は、日本なしには六カ国協議を開催しないと表明、日本が次回の協議に参加することに強い期待感を示した。また、米国国務省の関係者は、11月末での六カ国協議の開催が最も望ましいと語ったが、12月中旬に伸ばされる可能性も排除できないと述べた。

北朝鮮は日本の強硬姿勢に反発

日本当代中国研究センター理事長・楊中美博士は、「日本は経済や、軍事、政治などの分野で、地域での重要な立場を保っている。また、歴史上において、中国や朝鮮半島と密接なつながりがあるため、六カ国協議に日本を排除するのは不可能で、地域の平和と安全の保障にも支障が生じる」との見解を示し、北朝鮮の要求は、事実上一種の策略であると指摘した。

また、楊中美氏は、「(北朝鮮)は六カ国協議を分裂させようとしている。特に日本の最近の強硬姿勢に怒っている上、拉致問題の解決も難航し、国際社会に非難されている状況の中、北朝鮮はこのような分裂する戦略を考案、協議の席でその他の問題を省き、自分たちが重要視している核問題だけを議論する狙いがある」と分析した。

1997年に北朝鮮から韓国に亡命した北朝鮮労働党の中央委員・黄長イ氏は6日の講演で、「北朝鮮の問題を解決する道は金正日を除去することであり、この目標を実現するには、中国と北朝鮮の同盟関係を打破する必要があり、金正日の運命を握っているのは中国当局であるから」と分析、米国などの関係諸国は中国当局に対し、北朝鮮の資本主義と民主国家への転向は、中国への脅威にならないと保証すれば、中国当局は北朝鮮との同盟関係を打ち切るかもしれない、すると、北朝鮮問題の解決が推進されると提言した。

中国当局は北朝鮮にエネルギーと食糧を支援している

楊中美氏も楊中美氏も黄長イ氏の一部の論点に同調し、「確かに、中国当局は北朝鮮の運命を握るキーマンであり、北朝鮮の約90%のエネルギー供給と70%以上の食糧は中国からの支援であるから」と指摘した。また、同氏は、核兵器は北朝鮮の安全を保障していない、中国当局こそ北朝鮮の真の保護者であるとの見方を示し、「そのような中国と北朝鮮の同盟関係があるため、国際社会は非常に慎重な態度で北朝鮮に対応している、中国当局による強力なバックアップがなければ、北朝鮮問題はまったく心配するほどにはならない。中国当局は米国と協力して、北朝鮮への制裁に取り組めれば、金正日政権の延命は事実上困難になる」と述べた。

黄長イ氏の、中国を説得して、米国、日本と共同で北朝鮮に強硬な態度を取るべきとの提案について、楊中美氏は、非常に創意があるが、実現する可能性が低いとみている。「この地域は諸大国の利益が均衡する地区であり、変革後の北朝鮮が中立の態度を保持するならば、中国当局が当然に受け入れるが、もし(北朝鮮で)民主と自由の制度を実施するとなれば、中国が同等する自由と民主の政治を有していない中、(中国当局)は強い警戒感を持つのは避けられない。これは互いの利益衝突が絡む問題であるため、日米両国が口頭で保証するだけで解決できるはずがない、だから実現する可能性が低い」と分析した。

韓国、圧力による逆効果を憂慮

中国当局と同様に、対北朝鮮問題について、韓国も困難な選択に直面し、国連安保理の対北朝鮮制裁決議案と、自国の対北朝鮮「太陽政策」の間で、均衡する策略を探っている。韓国のノ・ムヒョン大統領は6日、韓国は北朝鮮の核実験という挑発行為を容認できないと表しながらも、北朝鮮と共同推進している2つの重要プロジェクトを継続する意向を明らかにした。韓国側は、対北朝鮮の過度な圧力はあえて逆効果をもたらし、朝鮮半島の情勢をさらに不安定させると憂慮しているという。

それに対し、楊中美氏は韓国が対北朝鮮の政策問題上において、独自の考えを持っていると指摘、「韓国が望んでいるのは、金正日政権が比較的に安定な状況を保ちながら、改革開放への発展を促進すること。特に、金正日政権が軍部の強硬派に偏り、核拡散の政策と軍事的な挑発に走るのを特に憂慮している。一旦衝突が発生すると、まず韓国の国家政策と民族利益が損害を受けるため、韓国がいまの政策を実行するのも、現実的に困難と選択の必要性があるから」と見解を説明した。

最後、楊中美氏は、金正日政権はいま改革推進派と軍部の強硬派の間で均衡を探っているが、一旦核兵器を推進する軍の強硬派が優勢を占めると、状況はさらに悪化するとの認識を示した。