高市早苗首相は9月12日、自身のX(旧ツイッター)で、2026年熊本地震で発生した災害廃棄物の処理に関する国の対応を報告した。
対応の柱は三つある。災害廃棄物の処理事業費の97.5%を国が負担すること、全壊・半壊家屋の公費解体で所有者に費用負担を求めないこと、特殊会社の中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)が被災自治体を専門的に支援するための法改正が成立したことである。
大規模な災害では、倒壊した家屋や損壊した家財などから、大量の災害廃棄物が発生する。被災現場から仮置場へ速やかに運び、計画的に処理できるかどうかは、復旧・復興の進み方に大きく影響する。処理が遅れれば、被災者による片付けや生活再建も進みにくくなる。
今回の地震は7月28日に発生し、益城町や氷川町などで最大震度7を観測した。熊本県は、災害廃棄物の量を約60万〜100万トンと見込んでいる。2016年の熊本地震で発生した311万トンの3分の1以下にとどまる一方、2020年の熊本豪雨で発生した約32万トンを上回る見通しである。県は2027年12月までの処理完了を目標としている。

市町村負担は実質2.5%
災害廃棄物は「一般廃棄物」に分類され、処理の責任は市町村にある。ただ、被災した市町村だけで多額の処理費を負担することは難しい。
国は、災害等廃棄物処理事業費補助金と特別交付税措置を組み合わせ、市町村の実質的な負担を2.5%に抑える方針である。国の実質的な負担率は97.5%となる。
高市首相は8月3日、発災後初めて被災地を訪れた。この際、激甚災害への指定や特定非常災害の適用、200億円を超える予備費の使用を表明していた。
木村敬・熊本県知事は、2016年の熊本地震と同程度の財政支援を求めている。今回の支援策は、2016年の熊本地震での対応も踏まえたものとなる。
全壊・半壊家屋を公費解体の対象に
被災家屋の解体についても、所有者の負担を軽くする。市町村が所有者に代わって解体・撤去する公費解体の対象を、全壊家屋だけでなく、半壊家屋にも広げる。
これにより、全壊または半壊と判定された家屋の所有者は、解体費用を負担せずに済む見通しである。
熊本市では、半壊以上と判定された家屋に加え、中小事業者の事業所も対象とし、9月10日から申請を受け付けている。
JESCOが調査・発注・広域処理を支援
今回の対応では、JESCOの活用も盛り込まれた。
JESCOは、高濃度PCB廃棄物の処理や、福島県内で発生した除去土壌などの中間貯蔵を担ってきた特殊会社である。高濃度PCB廃棄物の処理事業は、2026年3月に完了した。
6月に公布された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律」では、JESCOに災害廃棄物への対応に関する新たな役割を持たせた。
JESCOは、被災した市町村や都道府県に対し、災害廃棄物の処理方法を提案したり、専門人材を派遣したりする。国から委託を受け、調査研究や技術開発も行う。
高市首相はXへの投稿で、JESCOが被害状況の調査、処理業務の発注や契約、施工管理、広域処理の調整までを担うと説明した。
一方、災害廃棄物の処理責任は、引き続き市町村にある。JESCOは専門的な知識や技術を生かし、市町村を支援する役割を担う。具体的な支援内容は、法施行に向けて今後詰められる見通しである。
制度改正で進む平時からの災害廃棄物対策
制度改正の背景には、能登半島地震などを通じて明らかになった、平時からの備えの不足がある。
改正法では、市町村に災害廃棄物処理計画の策定を義務付けた。また、災害廃棄物を受け入れる民間の最終処分場について、都道府県知事があらかじめ指定できる仕組みも設けた。
災害が起きてから対応を始めるのではなく、起きる前から処理体制を整える考え方である。今回の熊本地震への対応は、新たな制度が被災地でどのように機能するかを示す事例となる。
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