米中双方は首脳会談後、それぞれ成果を発表した。一方、公式発表に盛り込まれなかった内容こそが重要だとの見方も出ている。
今回、双方は共同声明を発表せず、主要な懸案でも大きな進展はなかった。一方、対話ルートの拡充や経済面で一定の譲歩を行い、関係の安定化に向けた複数の措置では一致した。米中はそれぞれ300億ドル相当の商品に対する関税引き下げや、AIをめぐる新たな対話の枠組みなどで合意している。
しかし、先端技術や台湾問題など、対立の大きい問題をめぐる双方の基本的な立場に大きな変化はみられなかった。主要な対立点は依然として未解決のままである。
むしろ、公式発表で「語られなかったこと」に重要な意味があるのかもしれない。今回の会談をめぐる4つの主要テーマを見ていく。
AI対話と連絡ルート
米中は、新たなAI対話を設け、11月に次回協議を行うことで合意した。さらに、AIをめぐる事故や問題が誤解を招き、より大きな対立に発展するのを防ぐため、専用の連絡ルートも設ける。
AIは現在、ビジネスから軍事分野まで幅広く利用している。
米中がAI分野で主導権を競うなか、今回の首脳会談でAIについてどこまで踏み込んだ議論が行われるかに注目が集まっていた。
最近では、OpenAIのAIエージェントがオーストラリア政府のウェブサイトに無断でアクセスした問題が明らかになり、AIエージェントの安全性をめぐる懸念が強まっている。また、OpenAIのモデルが米政府機関の公開サイトにアクセスしていたことも報じられた。
AI企業の間でも安全対策を求める声は強まっている。一方、米国が開発速度を落とせば、中国共産党(中共)とのAI競争で優位を失うとの懸念もある。
ホワイトハウスによると、トランプ大統領と習近平は、対象となる新興技術についてAIではなく「スーパーインテリジェンス(超絶AI)」という言葉を使うことで一致した。米側はこれに基づき「米中スーパーインテリジェンス対話」を設けるとしている。
一方、中共側の発表では、引き続きAIと表記している。
トランプ氏は首脳会談前、米国のAI政策を監督するため「AI部隊」を設け、AI責任者を置く方針を表明した。「AIは次の産業革命、あるいはインターネット革命であり、その規模と影響はさらに大きい。米国のGDPの25%を占める可能性がある」と語った。
さらに「米国は中国や世界の他の国々をリードしており、この優位を維持するつもりだ」と強調した。
ただ、トランプ氏と習近平が実際にどのようなAI問題について話し合い、どこまで踏み込んだのか、詳しい内容は明らかになっていない。
貿易休戦
今回の貿易休戦延長には、何が盛り込まれ、何が盛り込まれなかったのか。
中共は9月28日、米中間の貿易休戦を2027年1月10日まで延長したことを正式に確認した。従来の期限から2か月延長した形で、双方はこの間、より包括的な貿易合意に向けた協議を続ける。
両首脳は年内に再び顔を合わせる予定である。トランプ氏は11月に中国深センで開かれるAPEC首脳会議に出席する意向を示しており、習近平も12月に米フロリダ州マイアミで開かれるG20首脳会議への出席が見込まれている。
実現すれば、両首脳が短期間に何度も会談する異例の展開となる。
貿易分野では、双方がそれぞれ300億ドル相当の商品について、関税を引き下げることで一致した。
米国側では、中国から輸入する小型家電、玩具、食器、子供用品などが対象となる。一方、中共側では、米国産のトウモロコシ、小麦、肉類、乳製品、医療機器などが対象に含まれる。
一方、両国間の重要な懸案は残った。
一方、レアアースなど重要鉱物の対米輸出拡大や、先端半導体をめぐる米国の対中規制緩和には進展がみられなかった。
台湾問題
ホワイトハウスが公表した首脳会談の成果に関するファクトシートでは、台湾問題への言及はなかった。
中共が発表した成果にも台湾問題は含まれていない。一方、中共が別途公表した会談内容では、習近平が米側に台湾独立に反対し、台湾問題を慎重に扱うよう求めたとしている。
台湾問題は、5月に行われた米中首脳会談でも議題となった。
トランプ氏は当時、習近平から、中国が台湾を攻撃した場合に米国が台湾を防衛するのか直接問われたことを明らかにした。
トランプ氏は記者団に対し、「答えを知っているのは一人だけだ。私だ」と述べ、具体的な回答を明らかにしなかった。
今回は、台湾についての発言はさらに限られた。
トランプ氏は会談後、台湾について「それほど多くは話していない」と説明し、「彼は私が台湾についてどう考えているかをよく理解している」と述べた。
台湾への言及が少なかった点については、さまざまな見方が出ている。
米政府は「台湾独立を支持しない」とする一方、中共または台湾のいずれかによる一方的な現状変更に反対する立場を取っている。
中共は台湾を中国の一部と主張している。米国は台湾と正式な外交関係を結んでいないが、台湾への防衛装備の供与を続けており、台湾をめぐる問題は米中間の主要な懸案の一つとなっている。
中国 外国金融機関の参入拡大へ
今回の合意には、外国企業による中国市場への参入をめぐる措置も盛り込まれた。
中共側は、米国系を含む外国の銀行や投資会社、保険会社などについて、中国での事業拡大を認める方針を示した。
ただし、事業には中国の法律や規制に従うことを求めている。
BBCは、この条件が重要だと指摘している。中国が市場を開放しても、参入を認める企業は中共側が引き続き管理できることを意味するためである。
外国の金融機関からはこれまで、中国での事業をめぐり、複雑な規制や許認可制度、出国禁止措置などが参入や事業拡大の障壁になっているとの指摘が出ている。
中共はまた、米中間の航空便増便案について協議中だが、具体策は示していない。
中国は現在、75か国以上からの旅行者を対象に査証免除措置を導入しているが、米国民は対象ではない。
一方、米国務省は中国への渡航警戒レベルをレベル2に据え置いている。国務省は、恣意的な法執行や出国禁止、拘束のリスクがあるとして、渡航者に「十分注意する」よう呼びかけている。
このため、米中双方がビジネスや人的交流の拡大を掲げる一方、実際の往来や事業活動をめぐる課題はなお残っている。
27日には、中国から貸与されたジャイアントパンダ2頭がアトランタに到着した。
習近平は米国訪問中、2頭をアトランタに送ることを発表しており、ホワイトハウスもパンダの到着を今回の米中関係をめぐる成果の一つとして紹介している。
CNBCによると、米シンクタンク戦略国際問題研究所のスコット・ケネディ研究員は、トランプ大統領と習近平がともに手厚い歓迎を受け、会談は友好的な雰囲気で進んだ一方、双方の発表からは互いに対する強い警戒感がなお残っていると指摘した。
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