カリフォルニア州ランカスター市のレックス・パリス市長(R. Rex Parris)は、同市職員が今年初め、中国の自動車メーカー・BYD(比亞迪)に関連してFBIの捜査を受けていたと明かした。今週ロサンゼルス大都市圏で行われた強制捜査も、中共の影響力工作をめぐる不正取引の捜査の一部だとしている。
74歳のパリス市長は7月30日(木)、『ロサンゼルス・デイリーニュース』紙のインタビューで、二度の強制捜査には共通するテーマ、すなわち中国共産党当局が贈り物や内部関係者への賄賂を通じ現地事業を獲得しようとする点があると語った。市長は、FBIがBYDのランカスターでのバス事業に加え、同市や複数団体が支援する慈善事業も調べていると指摘した。
同市長によれば、FBI捜査官は4月にロサンゼルス郡北部に入り、市庁舎職員や地域関係者の携帯電話を押収し、通信記録から不正・腐敗の証拠を探した。捜査対象の市議会議員のオフィスにあるコンピューターのデータも別機器にコピー(ミラーリング)したという。FBIとロサンゼルス連邦検事局はコメントを控えている。
4年に及ぶ情報収集と「中国政府による不適切な影響力」
BYDはランカスターで大規模な電池・電動バス工場を操業し、十数年にわたりアンテロープ・バレー交通局(AVTA)や他のバス事業者、学区に電動バスを納入してきた。BYDのEVは、ロングビーチ交通局、デンバー地域交通局、ロサンゼルス・メトロなどでも運行されている。米国子会社BYDアメリカがランカスター工場を運営している。高関税と連邦政府による安全性・排出ガス認証がないため、BYDの乗用車は米国で販売されていない。同社幹部は取材に応じていない。
パリス市長によれば、FBIの強制捜査は4年に及ぶ情報収集と事件構築を経たもので、関連する起訴はまだない。「中国(中共)政府が不適切な影響力を行使していることに疑いはない」と市長は語った。強制捜査後、別の市政府関係者が見せた捜索令状にはBYDと他の標的の名前が記されていたが、具体名は明かさなかった。
市議会選挙翌日の4月15日、FBI捜査官は副市長マーヴィン・クリスト(Marvin Crist)と市議会議員ラジェ・マルヒ(Raj Malhi)らの自宅を家宅捜索した。クリスト副市長はAVTA理事長で、同局は2018年から保有ディーゼルバスをすべてBYD電気バスに切り替え始めている。マルヒ市議もAVTA理事会メンバーである。
16年前、ランカスター市はロサンゼルス市やロングビーチ市と激しく競い、BYDの米国誘致を目指した。「BYDをランカスターに招いたのは私である」と同市長は語る。パリス氏は2008年4月から市長を務め、3度の訪中で誘致を働きかけた。同社は2013年5月1日、ロサンゼルスの北約60マイル(約97キロ)に位置する同市への工場建設計画を正式発表した。工場は最盛期に地元で約1,000人を雇用したが、EV市場低迷で従業員は約200人減った。
慈善団体や病院、コミュニティメンバーにも広がる捜査の網
春先の捜索令状には、慈善団体や病院、他の市政府職員、一部地域コミュニティメンバーの名前も記されていたが、市長は具体名を明かさなかった。FBIは複数のコミュニティメンバーの携帯電話も押収しており、身元非公表のAVTA理事会メンバーのものも含まれていた。
同市長は「令状の文言から、市政府はすでに市長と副市長のために刑事弁護士を雇っている」と語った。パリス氏自身も刑事弁護士である。
先週、FBIはカリフォルニア州サンバーナーディーノ郡でも強制捜査を行い、同郡郡政委員やオンタリオ市議会議員の自宅、ウェスト・コビーナの中国系米国メディア制作会社EDI Mediaのオフィスを捜索した。ビバリーヒルズの高級住宅も家宅捜索し、オンタリオ国際空港の記録類を押収した。
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