国際合意履行へ 米国が戦略石油備蓄をさらに4千万バレル放出

2026/09/30
更新: 2026/09/30

米エネルギー省は9月29日、石油市場を安定させるため、交換方式で戦略石油備蓄の原油を最大4千万バレル、エネルギー企業に貸し出すと発表した。

同省は同日、入札公告を出した。貸し出す原油は、テキサス州のビッグヒルとブライアンマウンドの2か所の備蓄拠点から供給する。落札後の引き渡しは11月と12月に予定されている。同省の交換制度に基づき、原油を借りた企業は後日、同量の原油を返還し、さらに一定割合の「プレミアム」分の原油を追加で納める。入札期限は米中部時間10月6日午前11時となっている。

エネルギー省によると、今回の原油放出は、米国が先に発表した1億7200万バレルの備蓄放出計画の一環。この計画は、国際エネルギー機関(IEA)加盟国が約束した計4億バレルの協調放出に合わせたものだ。

クリス・ライト・エネルギー長官は声明で、米国は各国と連携し、石油市場の安定化を主導していると述べた。また、米国と日本は約束を履行しているが、「欧州の複数の加盟国は、約束した量のごく一部の原油と石油製品しか放出していない」とし、全加盟国に約束の履行を求めた。

ライト氏は、この交換方式によって戦略石油備蓄の補充を継続でき、納税者の負担を30億ドル以上削減できるとも述べた。

これまでの交換の状況

エネルギー省によると、これまでに5回の入札を実施し、計1億3300万バレル超の貸し出しが決まった。これらの取引条件では、企業が返還する原油は借りた量より25%多くなるという。このうち4件の交換はすでに完了している。

ロイター通信は6月、米国が4千万バレルの貸し出しに向けた入札を実施したと報じた。しかし、同月に公表された結果によると、企業が借りたのは約50万バレルにとどまった。

ロイター通信によると、欧州連合(EU)は加盟国がこれまでに放出した備蓄の総量を公表していない。EU加盟国の備蓄放出は、原油ではなく主に石油製品の形で行われている。

備蓄量は1982年以来の低水準

米エネルギー情報局(EIA)のデータによると、9月18日までの週の戦略石油備蓄量は2億8455万バレルで、1982年10月以来の低水準となった。2月27日までの週の備蓄量は約4億1544万バレルだった。

ロイター通信によると、米国の法律では、戦略石油備蓄が2億5240万バレルを下回った場合、大統領は通常の小規模な取り崩しを命じることができない。ただし、重大な緊急事態では放出を命じることができる。ロイター通信は、今回の貸し出しにより、備蓄量が一時的にこの基準を下回る可能性があると推計した。

米国とイランの戦闘は2月末に始まった。トランプ政権は開戦後、戦略石油備蓄を大量に放出した。バイデン前大統領も、2022年のロシアによるウクライナ侵攻後、備蓄を大規模に放出した。

ロイター通信によると、米国のガソリン価格は現在、1ガロン当たり約4.45ドルで、開戦時より50%近く上昇している。軽油価格は約70%上昇し、1ガロン当たり約6.50ドルとなっている。

林雨荷