「完璧主義」からの脱却とスピード調達 防衛装備庁「迎撃ドローン早期取得プログラム」の内実

2026/07/29
更新: 2026/07/29

防衛装備庁は7月15日、長射程自爆型無人機(UAV)の脅威に対処する「迎撃ドローン早期取得プログラム」の実証試験について、エアモビリティ、全日空商事、Terra Drone、日本海洋の4社を受託企業に決定したと発表した。

ウクライナや中東では、シャヘド型をはじめとする自爆型ドローンが大量に運用され、既存の防空システムが直面する課題が明らかになっている。比較的安価で迅速に配備できる迎撃ドローンの導入は、日本の安全保障においても急務となっている。

今回のプログラムは、新たな装備品を導入するだけでなく、従来の防衛装備品調達の進め方そのものを変える試みである。大紀元は防衛装備庁に取材した。

数年単位の調達を約3か月に短縮

プログラムの最大の特徴は、装備品の募集から取得までを異例の短期間で進める点にある。

防衛装備庁の担当者は、プログラムを開始した背景について、「ウクライナ侵略では、2~3週間のうちにドローンの性能がアップデートされるといった、今までには考えられないような速度のフィードバック・サイクルが行われている」と説明。こうした戦場での変化に対応するため、防衛省は「最初から100%の性能を求める完璧主義をやめ、とにかくまず部隊で使ってみる」との考え方に転換したという。

従来、装備品の取得には数か月から数年を要していた。これに対し、今回のプログラムでは、募集開始から企業・機種の選定までを約1か月、選定から実証試験終了までを約1か月、契約から取得までを約1か月と設定。募集開始から約3か月で量産調達の契約に進むことを目指している。

国産1機、海外製3機を選定

実証試験の対象となる4機種は、終末誘導の自動化、垂直離着陸(VTOL)性能、中間誘導における自動化への拡張性という共通要件を満たしており、いずれも標的への直接衝突などによる迎撃を想定した機体となっている。

その上で、部隊の異なるニーズを検証するため、単一の管制装置による複数機の運用、長射程、国内生産基盤、最高速度という四つの特性に応じて区分された。

タイプ1には、エアモビリティが提案したポルトガルのBeyond Vision製「BVQ404」が選ばれた。同社製品はポルトガル軍への納入実績やNATOの演習への参加実績を持ち、ウクライナ向けにも出荷されて運用実績を重ねている。機能を追加することなく、単一の管制装置から複数機を同時に管理し、目標を割り当てることができるという。

タイプ2は、全日空商事が取り扱うドイツのQuantum Systems製「QS INTERCEPTOR」である。全日空商事が同機を使用して実証試験を受託する。

タイプ3には、Terra Droneの日本製迎撃ドローン「TerraB1」が選ばれた。4機種のうち唯一の国産機であり、国内生産基盤が整備されていることが選定区分の要件とされた。

現代戦ではドローンの大量消費が想定されるため、継続的な供給体制の確保が課題となる。Terra Droneは6月、ウクライナの迎撃ドローン企業2社を子会社化すると発表した。実戦環境でシャヘド型無人機の迎撃に成功したウクライナ側の知見と、日本国内の生産・供給体制を組み合わせることを強みとしている。

タイプ4には、日本海洋が提案した米国DZYNE Technologies製「IonStrike」が選ばれた。同機は次世代の自律型迎撃ドローンで、高度な自律飛行技術とオープンシステムアーキテクチャを採用している。多様な防衛システムとの相互運用を想定した、多層的な対無人航空機能力を提供するという。

艦上運用や通信途絶時の安全性も検証

実証試験では、機体の飛行性能や標的の探知・追尾性能に加え、艦上での運用性や通信が途絶した場合の安全性なども確認する。特に海上自衛隊での使用を含め、実際の部隊運用に直結する能力を検証する。

試験は8月上旬に終了する予定で、試験結果を踏まえ、有望な機種については速やかに量産取得へ移行する方針だという。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。