日米共同演習「キーン・ソード27」10月19日から 自衛隊4万5千人 参加国も拡大

2026/09/29
更新: 2026/09/30

自衛隊とアメリカ軍は10月19~29日、日米共同統合演習「キーン・ソード27」を実施する。自衛隊からは約4万5千人、艦艇約40隻、航空機約260機が参加する予定で、前回の実動演習を上回る規模となる。オーストラリア、カナダに加え、フランス、ドイツ、オランダ、ニュージーランド、フィリピンの各軍も実施部隊等に含まれており、参加国は広がっている。

統合幕僚監部が9月29日に概要を発表した。演習の目的は、各種事態における日米共同対処と自衛隊の統合運用を演練・検証し、共同統合運用能力の維持・向上を図ることにある。実施場所は自衛隊と在日米軍の施設のほか、民間空港・港湾、そして我が国の公有地・民有地にまで及ぶ。訓練項目は統合防空ミサイル防衛、水陸両用作戦、サイバー攻撃等対処、情報戦、統合電磁波作戦、宇宙状況把握など15項目に上り、海空戦にとどまらない領域横断(クロス・ドメイン)作戦を志向する内容となっている。

一方、訓練項目には離島防衛やミサイルへの対処など、日本周辺の安全保障環境を踏まえた内容が並ぶ。中国、北朝鮮、ロシアの動向も念頭にあるとみられるが、どの国への対応を重視するかは公表されていない。

「キーン・ソード24」水陸両用作戦(防衛省)

中国  南西諸島の防衛を念頭に

中国への対応を考える上で注目するのは、水陸両用作戦、部隊を分散して運用する「機動分散運用」、重要施設等の防護といった訓練である。いずれも南西諸島を含む離島の防衛に関わる項目だ。台湾有事が日本の安全保障に及ぼす影響を考えれば、離島への部隊展開や重要施設の防護を訓練する意義は大きい。ただし、統幕の発表資料は台湾有事を演習の想定として明示していない。

自衛隊の参加規模も前回から拡大する。人員は「キーン・ソード25」の約3万3千人から約4万5千人へ、艦艇は約30隻から約40隻へ増える。一方、航空機は約250機から約260機と増加幅が小さい。人員と艦艇の増加が目立つものの、この数字だけで離島への展開が演習の重点だと判断はできない。訓練項目ごとの参加規模も公表していない。

フィリピン軍が実施部隊等に含まれたことも注目点だ。南シナ海で中国と対立するフィリピンと、南西諸島の防衛を課題とする日本が同じ演習に参加することは、第一列島線に沿った各国の連携を示す。ただし、フィリピン軍がどの訓練に、どの程度参加するかは明らかになっていない。

北朝鮮  ミサイルへの対処

北朝鮮との関係では、「統合防空ミサイル防衛訓練」が焦点となる。ミサイルの探知から追尾、迎撃までを日米がどう連携して行うかは、日本の防衛上、重要な課題である。北朝鮮による弾道ミサイルなどへの備えという側面はあるが、統幕はこの訓練の対象を北朝鮮に限定していない。

ロシア  周辺海空域の警戒

ロシアへの対応という観点では、中国との軍事的な連携を含め、日本周辺の海空域で起こり得る事態への備えが問われる。今回の演習には、海上・航空作戦のほか、情報戦、宇宙状況の把握、電磁波を使った作戦、サイバー攻撃への対処など、複数の領域にまたがる訓練が盛り込まれた。ただし、これらを特定の国に対する訓練と結びつける説明は発表資料にはない。

欧州・フィリピンなど参加国が拡大

前回の「キーン・ソード25」では、オーストラリア軍とカナダ軍が参加部隊に含まれ、フランス、ドイツ、オランダ、ニュージーランド、フィリピンなどはオブザーバーとして招かれた。今回の発表では、これら5か国の軍が、カナダ軍などとともに「実施部隊等」に記載されている。

欧州3か国、ニュージーランド、フィリピンの軍が実施部隊等に入ったことは、日米を軸とする演習に、より多くの国が関わる動きとして注目する。インド太平洋の安全保障への関心が欧州にも広がるなか、今回の参加は各国の連携を深める機会となり得る。ただし、各国の派遣規模や担当する訓練は公表していない。参加国が増えることと、指揮通信や後方支援まで含めて共同運用できることは別であり、連携の実態は演習の内容を見極める必要がある。

統合作戦司令部 日米との指揮・連携を検証へ

自衛隊側の統裁官は、統合作戦司令官の俵千城海将が務める。統合作戦司令部は2025年3月に発足した、陸海空自衛隊を一元的に指揮する常設の司令部だ。俵海将は2026年3月に第2代司令官に就任した。発足から間もない司令部が大規模な実動演習にどう対応し、各部隊やアメリカ軍とどう連携するかにも注目が集まる。

「キーン・ソード」日米共同統合演習は1985年度に始まり、実動演習は今回で18回目となる。今回公表した自衛隊の参加人員と艦艇数は、少なくとも前回を上回る。参加規模の拡大と参加国の広がりを、日米や各国軍の実際の連携強化につなげられるかが、演習の重要な点となる。