「戦後最も厳しい安保環境」小泉防衛相 3文書改定を年内加速

2026/09/19
更新: 2026/09/19

小泉進次郎防衛相は9月18日、日本を取り巻く安全保障環境を「戦後最も厳しく、複雑」と位置づけ、安全保障関連3文書の年内改定に向けた議論を加速させる考えを示した。「残された期日はそう多くない」として、「1年目以上の速度と強度」で取り組みを進める必要があると強調した。

会見では核をめぐる議論や沖縄の基地負担軽減にも言及したほか、同日朝に放送された日本テレビの報道について「事実無根」と反論する一幕もあった。

安保3文書の年内改定へ議論加速

内閣改造は9月17日に発表され、首相を除く8人が留任した。小泉氏もその一人だが、本人は今回の留任を「継続」とは呼ばない。留任決定後には「継続ではなく新たなスタート」と述べた。

会見でも姿勢は変わらなかった。小泉氏は1年目に「前例にとらわれず」、防衛力の抜本的強化や自衛隊員・家族の処遇改善を進めてきたと説明した。そのうえで、小泉氏は、日本と地域を取り巻く安全保障環境について、戦後最も厳しく複雑な状況にあるとの認識を示した。その上で、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画から成る安保関連3文書の改定は、「我が国と地域の未来を左右するものだ」と述べた。

年内改定まで残された時間は限られているとして、「3文書の改定の『年内まで』という残された期日はそう多くはない」と指摘。「1年目以上の速度と強度で、あらゆる取り組みを推進していかなければならない」と語り、危機感を示した。

「楽観視できる要素は皆無」

安全保障関連3文書は、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画を指す。現行文書は2022年12月に策定された。策定から数年で改定に踏み切ることは、政権の危機認識の強さを示している。

小泉氏は、年内改定まで「あと二、三か月」しかないとして、残された時間の乏しさを強調した。現在の安全保障環境について「全く楽観視できるような要素はない」と述べ、「いついかなる形で力による一方的な現状変更が起きるか予測できない」と指摘した。そのうえで、新たな戦争を起こさせないため、防衛省・自衛隊の総力を結集する必要があると訴えた。

首相指示書に防衛力強化と日米同盟の深化

小泉氏は、前日に高市早苗首相から受け取った指示書の内容について、質疑の中で説明した。

指示には、防衛力の抜本的強化、防衛生産・技術基盤や自衛隊の人的基盤の強化、戦略3文書の見直し、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化、「自由で開かれたインド太平洋」の深化などが盛り込まれた。

このほか、日英伊による次期戦闘機の共同開発、在日米軍再編に伴う抑止力の維持と沖縄をはじめとする地元負担の軽減、警戒監視・情報収集と法令に基づく適切な対処、自然災害への対応、同志国への日本製品・サービス・インフラの輸出拡大、平和安全法制に関する事務なども挙げられた。

原子力潜水艦も排除せず 核をめぐる議論の行方

会見では、核をめぐる「タブーなき議論」や原子力潜水艦の導入可能性も取り上げられた。小泉氏はこれまで、原子力潜水艦についても選択肢から排除しない考えを示してきた。

こうした論点を3文書改定にどのように反映し、国民にどう説明するのか問われると、小泉氏は防衛力の抜本的強化について「国民の理解を一定いただいている」との認識を示した。そのうえで、「あらゆる選択肢を排除せず議論することの必要性」を、今後も丁寧に伝えていく考えを示した。

沖縄・キャンプ瑞慶覧の返還合意と基地負担軽減

小泉氏は会見の冒頭で、沖縄の基地負担軽減についても言及した。「一つ一つ着実に結果を出していく」ことが重要だとして、2件の返還合意を挙げた。

今年4月には、キャンプ瑞慶覧「喜舎場住宅地区」の一部約5ヘクタールの返還で日米両政府が合意した。さらに9月17日には、防衛省がキャンプ瑞慶覧の一部0.79ヘクタール(約7900平方メートル)を返還することで、日米両政府が合意したと明らかにした。返還は2027年5月末までに実施される見通しである。

一方、普天間飛行場の全面返還という課題はなお残る。小泉氏は、普天間飛行場の一日も早い全面返還も含め、基地負担軽減に取り組む考えを示した。

9月13日投開票の沖縄県知事選では、辺野古移設を容認する立場の古謝玄太氏が、現職の玉城デニー氏らを破って初当選した。12年ぶりの保守県政となり、小泉氏は「新知事からの御意見も伺いながら」取り組む考えを示した。

日本テレビ報道を「事実無根」と否定 番組側は訂正・謝罪

会見の最後に小泉氏は、同日朝の日本テレビの番組で、自身が役職希望アンケートに熱心に記入したかのような報道があったとして、「全くの事実無根」と反論した。日本テレビから直接の取材や事実確認はなかったとも述べた。

同日朝の情報番組「ZIP!」では、高市首相が自民党の衆院議員に募った希望役職アンケートを重視したとする解説の中で、小泉氏が「留任したい」と熱心に書いていたと伝えられた。

小泉氏はX(旧ツイッター)で、人事に関するアンケートは提出しておらず、首相と直接コミュニケーションを取ったと説明した。閣僚の立場で役職希望を出すことは「烏滸がましい」と考え、提出しなかったとしている。

日本テレビは同日夜の「news zero.」で、小泉氏がアンケートを提出していなかったことを説明し、当該報道を訂正して謝罪した。番組側は、小泉氏が首相と直接コミュニケーションを取る中で、防衛相としての思いを伝えていたと説明している。