中国共産党(中共)に関連する違法活動が日本国内で相次いで発覚しており、日本の経済および国家安全保障上の脆弱性が浮き彫りとなっている。こうした状況を受け、日本政府は近年最大規模となる経済安全保障政策を打ち出し、日本市場への外国資金に対する審査を拡大・強化するとともに、国内における中共関連の違法活動の取り締まり強化を図っている。
ジャパンタイムズの報道によれば、高市早苗政権は6月29日、「日本版CFIUS(対内直接投資審査制度)」を設立し、日本企業を対象とする外国資本の審査を拡大・強化する方針である。
近年、中国に関連する各種の違法活動が相次いで報じられている。例えば、中国籍の研究者が日本の技術機密を窃取し、中国企業へ漏洩した事案や、中国の組織が日本を経由してフェンタニルを米国へ密輸している疑い、さらに先月には台湾の検察当局が、容疑者3名が少なくとも1ロットのNVIDIA製高性能AIチップを日本経由で中国へ密輸した疑いがあると発表した事案などである。これらの事例は、日本が中共関連の違法活動の中継拠点として利用されている可能性を示している。
日本版CFIUSが正式発足
現在、高市政権は近年最大規模の経済安全保障政策を強力に推進しており、日本独自の外国投資審査制度を整備し、海外資本による国内企業買収に対する審査の拡充・強化を進めている。
この構想は、米国の「対米外国投資委員会(CFIUS)」に由来するものであり、同委員会は近年、中国関連投資に対する審査を重点的に強化している。
日本版CFIUSは6月29日に正式発足し、関係省庁を横断的に調整しながら、国家安全保障の観点から外国投資案件を審査する枠組みである。従来は主に財務省および関係省庁が個別に審査を担っていたが、今回の制度により統合的な審査体制が構築される。
この審査体制は、改正された「外国為替及び外国貿易法(FEFTA)」に基づいて整備されたものである。改正法では、外国政府や国有企業などの高リスク主体による投資について、監督権限が拡大されたほか、事前審査の対象範囲も拡大され、一部の間接保有も審査対象に含まれるようになった。
なぜ改革が必要なのか
東京大学大学院の経済安全保障インテリジェンス研究に携わる井形彬氏は、「高市氏は、ここ数年にわたり政策立案者や官僚、学界が提唱してきた経済安全保障政策を実際の政策として具体化し、実行に移している」と指摘する。
FEFTAは2019年の改正以降、日本における外国投資の事前届出件数が増加し続けている。従来、外国のアクティビストファンドは政府の審査を経ることなく最大10%までの株式取得が可能であったが、改正後はこの基準が1%に引き下げられ、企業経営への影響力行使を大きく抑制する仕組みとなっている。
米国財務長官スコット・ベセント氏は5月、日本の政府関係者との会談後、この投資審査制度の強化を公に支持した。
高市早苗の政策理念
高市早苗は首相就任以前、自民党政務調査会長を務め、2022年から2024年にかけて経済安全保障担当大臣を歴任した。在任中は、日本のサプライチェーンやインフラ、先端技術を国際的リスクから守るための立法を積極的に推進し、「経済安全保障推進法」の拡充・改正にも継続的に取り組んだ。
こうした政策は、2024年に出版された著書『日本の経済安全保障 国家国民を守る黄金律』において示された対中共脅威認識を具体化したものといえる。
同書の中で高市は、「サプライチェーンの強靭化や情報セキュリティの強化を進めるにあたり、中国の存在を決して軽視してはならない」と指摘している。
また、中国は日本最大の輸入相手国であり、世界のサプライチェーンに大きな影響力を持つと同時に、多数の研究者や学生を海外に派遣している点にも言及している。さらに、中国には「国家情報法」が存在し、国民に対して情報活動への協力を義務付ける仕組みがあることも指摘している。
同法第7条では「いかなる組織および公民も、法に基づき国家情報活動を支持・協力しなければならない」と規定されている。また第14条では国家情報機関が関係機関や個人に対し協力を求める権限を持つことが明記され、第16条では情報要員が関連資料の閲覧・取得を行う権限を有すると定められている。
在日中国関連の違法活動事例
実際、近年の複数の事例がこうした懸念を裏付けている。主な事例は以下の通りである。
中国籍研究者による日本の技術機密の窃取および中国企業への漏洩
自衛隊における中共関連ウイルス入りUSBメモリの使用
中国資本による日本の宗教関連資産への大規模投資流入
中国組織による日本経由のフェンタニル密輸疑惑
台湾検察当局が指摘した、日本経由でのNVIDIA製AIチップの対中密輸疑惑
さらに、警察庁の統計によれば、違法行為の多くがサイバー空間を通じて拡大している。例えば2026年6月23日には、KDDIがサイバー攻撃を受け、インターネットサービスプロバイダー向けメールシステムが侵害され、最大約1422万件のメールアドレスおよびパスワードが流出した可能性がある。
外資買収案件への厳格対応
安全保障上の懸念が高まる中、日本政府は外資による買収案件への対応を強化している。2026年4月には、「外国為替及び外国貿易法」を適用し、韓国のプライベートエクイティ企業MBKパートナーズによる牧野フライス製作所の買収に対し、中止勧告を発出した。これは2017年の法改正以降、初めて公表された事例である。
また、台湾の国巨(Yageo)による芝浦電子の買収案件では、審査に数か月を要した。さらに政府は2024年、セブン‐イレブンの親会社であるSeven & i HoldingsをFEFTA上の「コア企業」に指定し、外国投資家による株式取得に対してより厳格な事前審査を課す体制を整えた。
この結果、外資による買収案件は一層厳しい安全保障審査に直面するようになり、カナダのAlimentation Couche-Tardによる買収計画も最終的には実現しなかった。
今後の影響
一方で、投資審査の強化だけでは問題の一部しか解決できないとの指摘もある。特に、日本企業の大多数を占める中小企業にとってはリスクが深刻である。これらの企業は製造業サプライチェーンの中核を担う一方、機密技術の保護に必要な資源や専門知識が不足している場合が多い。
愛知県のゴム金型メーカー「Make Start」はその中で例外的な取り組みを行っている。同社は従業員約100人規模ながら、大手自動車部品メーカーに部品を供給しており、セキュリティ対策として生産工程の90%以上を自社内で完結させ、社員には専用スマートフォンを支給している。
同社CEOの坂田邦宏氏は、情報漏洩防止は日常的な対策の積み重ねによって成り立つと指摘する。社員の転職時における暗黙知の持ち出しや、SNS上での無意識の情報発信もリスクとなり得るという。
また、「これらをすべて一人で対応するとなれば、対策は後回しになりかねない」と述べ、専門家との連携の重要性を強調した。
同志社大学名誉教授の村山裕三氏は、政府や警察による資源投入が企業側の意識向上につながっていると指摘する。「高市内閣発足後、防衛産業を成長分野として位置付ける議論も始まっており、これが認識の変化を促す一因となっている」と述べている。
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