経済安保の「守り」強化へ新組織 高市総理「対日投資のリスクを厳格審査」

2026/06/30
更新: 2026/06/30

令和8年6月29日、高市総理は総理大臣官邸において開催された「対日外国投資委員会(JFIC:Japan Foreign Investment Committee)」の初会合に出席した。本委員会は、経済安全保障の観点から対内直接投資の審査体制を抜本的に強化することを目的としている。

設立の背景:縦割り打破と経済安保の両立

対日外国投資委員会の創設は、高市総理が経済安全保障の強化を掲げて自民党総裁選挙の公約としたものであり、さらに自由民主党と日本維新の会の連立政権合意書においても今国会中の創設が明記されていた最重要施策の一つである。

背景には、従来の対内直接投資審査において、関係省庁の審査能力の向上や「縦割り」の解消が急務であるという強い問題意識があった。政府は、外為法改正法の成立を受け、省庁横断的な連携を通じて審査を高度化・一貫化させる体制を整えた。

令和8年6月29日、高市総理は、総理大臣官邸で対日外国投資委員会に出席した(出典:首相官邸ウェブサイト)

高市総理の発言要旨

初会合の冒頭、高市総理は以下の主要な方針を表明した。

  • 投資促進とリスク管理の「メリハリ」: 海外の優れた経営ノウハウや技術を呼び込む「健全な対日投資」は、イノベーション創出と日本経済の持続的成長に寄与するため、引き続き歓迎し促進する施策を講じる。一方で、安全保障上のリスクを伴う投資に対しては、「メリハリある対応」ができるよう審査制度を高度化させる必要がある。
  • 審査能力の底上げ: 審査ノウハウの共有や、外国投資家のリスク属性等の情報連携を強化することで、政府全体としての審査能力を底上げする。
  • サプライチェーンの検証: 投資先の日本企業が営む事業や技術が、防衛装備品や重要物資のサプライチェーン上でどのような意味を持つか、省庁横断的に検証できる体制を構築する。
  • 予見可能性の向上: 一貫性のある審査は、外国投資家にとっても予見可能性を高めることにつながり、健全な投資促進と経済安全保障の確保の両立に資する。

総理は、各省庁の構成員に対し、日本の重要技術や情報の保全に向けた高い意識を持って業務に取り組むよう指示した。

会議をまとめる高市総理(出典:首相官邸ウェブサイト)

対日外国投資委員会の組織構造と審査の枠組み

配布された会議資料によれば、委員会の具体的な構成と役割は以下の通りである。

  • 組織構成: 財務省(制度所管)と内閣官房国家安全保障局(NSS、安保の総合調整)が共同議長を務める。主構成員には外務省、経済産業省、防衛省が名を連ね、総務省、警察庁、金融庁、農林水産省などの関係省庁が広範に参加する体制となっている。
  • 情報連携: 外国投資家のリスク属性等の把握にあたっては、情報コミュニティとの連携も強化される。
  • 審査の総合判断: ①投資先企業の業種・技術(コア業種か等)、②投資家の属性(外国政府との関係等)、③投資の態様(議決権の割合等)を総合的に判断する。
  • 運用の実務: 原則として個別事案を扱うため会議は非公開とされるが、実務を担う「幹事会」を設置し、迅速な事務処理を行う。

今後は、外為法に基づく事前審査のみならず、事後モニタリングにおいても本委員会が中心的な役割を果たすことになる。国の安全を損なう事態が生じるおそれがある場合、省庁を横断して意見や情報を集約・検討する仕組みが稼働する。

予測される今後の展開として、防衛装備品や重要物資のサプライチェーン保護の観点が審査に厳格に反映されることで、日本の重要技術の流出防止が一段と強化されるだろう。また、高市総理が期待を寄せた通り、各省庁の職員に至るまで経済安全保障の意識が浸透し、より高度で機動的な投資審査体制が定着していくことが見込まれる。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。