「持ち主が見つからなかった」。
中国中部・河南省南陽市を管轄する市場監督管理局が、押収した大量の冷凍食品を競売にかけた理由としてこう説明し、中国のネット上で「国民を愚弄している」と批判が殺到している。
問題となったのは、同省で相次いで発覚した利益目的の取り締まり疑惑だ。
中国メディアによると、運転手と結託して冷蔵トラックを本来の配送先ではなく南陽市へ誘導し、高速道路の出口で待ち構えていた当局が、「食品安全法違反の疑い」などを理由に冷凍食品を押収。荷主が返還を求めても応じられず、最終的に「持ち主不明」として競売にかけられていた疑いが報じられた。
47日間で24台の冷蔵トラックを摘発、計213トンの冷凍食品を約350万元(約7千万円)で売却し、代金は国庫へ納めたという。
批判を受け、同局は6月26日、「運転手への聞き取りや発送元の調査、公告などを行ったが、最終的に権利者を特定できなかった」と釈明した。また、2023年に処分した冷凍食品についても、貨物の返還を求める申し出や行政不服申し立て、行政訴訟はなかったとしている。
しかし、この説明にネット上では疑問と怒りの声が噴出した。
「物流情報がこれだけ管理されている時代に、『持ち主不明』はあり得ない」「47日で24台もの冷蔵トラックが偶然南陽へ来る確率は宝くじ並みだ」と、当局の説明に疑問の声が相次いだ。
さらに、中国メディアが以前報じた河南省泌陽県の同様の事案では、多くの荷主が証明書類を持って返還を求めても、「所有者である証明が不十分」として認められず、貨物を取り戻せなかった。そのため、「返還を求める申し出はなかった」とする今回の当局の説明にも疑問の声が上がっている。
また、「『食品安全法違反の疑い』で押収したのなら、安全性が確認できない食品を競売にかけるのはおかしい」「本当に問題がある貨物なら廃棄すべきだ」と、押収理由と処分方法の矛盾を指摘する声も上がった。
「これまで聞いた中で最も恥知らずな説明だ」「公然たる略奪だ」「国民の知能を侮辱している」「強盗だ」と、批判は一気に広がった。
当局は疑惑の火消しを図ったが、その釈明は国民の疑念を払拭するどころか、かえって怒りを広げる結果となった。
中国では近年、財政難に陥った地方政府による利益目的の取り締まりが問題視されている。今回の事件は、罰金徴収にとどまらず、「最初から仕組まれた罠」によって貨物を押収し、競売にかける手口へとエスカレートした象徴的な事例として、大きな波紋を広げている。
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