「台湾は米中競争の最重要対象」 台湾有識者が国際情勢を分析 国立台湾大学で講演会

2026/06/09
更新: 2026/06/09

台湾の自由通信伝播協会は6月7日、国立台湾大学で講演会を開催し、「世界の政治・経済大変局 米中対立下でいかに対応すべきか」をテーマに、学者や専門家が国際情勢について分析を行った。

司会を務めた同協会理事長の呉恵林氏は、トランプ政権第2期は、1980年代のレーガン政権の路線を継承・強化していると指摘した。

呉氏によると、経済面では「公正な貿易」を掲げ、関税政策を積極的に活用することで世界の経済秩序に大きな変化をもたらしている。また政治面では、レーガン政権の「外国の専制政権打倒を支援し、自由を求める人々を助ける」という方針を引き継ぎ、中南米や中東における政権の変動を促したと評価した。

今回のシンポジウムには、台湾大学政治学系名誉教授の明居正氏、元米国防総省関係者の胡振東氏、台湾の国立政治大学(NCCU)にある「国際関係研究センター(IIR)」上級研究員の宋国誠氏、台湾財新メディアグループ董事長の謝金河氏が招かれ、それぞれの見解を述べた。

2026年6月7日、台湾の自由通信伝播協会は国立台湾大学で特別講演会を開催し、「世界の政治・経済秩序の大変動 米中対立の下でいかに対応すべきか」をテーマに、学者や専門家を招いて分析と討論を行った(大紀元)
2026年6月7日、台湾の自由通信伝播協会は国立台湾大学で特別講演会を開催し、「世界の政治・経済秩序の大変動 米中対立の下でいかに対応すべきか」をテーマに、学者や専門家を招いて分析と討論を行った。(大紀元)

台湾大学政治学系名誉教授「米中対立は国際政治の主軸」

台湾大学政治学系名誉教授の明居正氏は、現在の国際政治の中心軸は米中対立にあり、その本質は民主主義体制と権威主義体制の対立だと指摘した。

台湾大学政治学系名誉教授の明居正氏(大紀元)

同氏は、米中競争の核心は経済分野にあるとし、アメリカは中国共産党(中共)政権による原産地偽装や補助金政策への対抗措置を進める一方、人工知能(AI)、量子計算、原子力、宇宙開発、水中技術などの先端分野で優位性を維持し、軍事力と同盟戦略によって中共に対抗していると述べた。

また台湾の価値について、民主主義や戦略的位置、半導体産業、経済・貿易上のパートナーとしての役割、そして反共の最前線である点を挙げた。

同氏は「台湾は米中競争の最重要対象であり、台湾を得る者が勝利する。米国が台湾を放棄することはない」と強調した。

さらに、中共が台湾の重要性を十分認識しているため、「疑米論」や「疑日論」といった認知戦を展開しているとし、台湾社会に対して「見ない、信じない、広めない、反論する」姿勢が必要だと訴えた。

元米国防総省関係者の胡振東氏は、ビデオメッセージを寄せ、アメリカの対台湾政策に変化はなく、とりわけ防衛分野における米台間の協力は継続的に強化されていると説明した。

元米国防総省関係者の胡振東氏(大紀元)

その背景には、中共による脅威の増大があるとし、台湾駐在の米軍関係者が台湾軍の訓練や支援に携わっていることが、その具体例だと述べた。

また情報分野では、台湾が中国に関する重要な情報をアメリカへ提供し、アメリカの分析能力向上に貢献していると評価した。サイバー安全保障についても、中共がアメリカへの攻撃に先立ち台湾を実験場として利用しているため、台湾で得られた経験はアメリカの防御能力向上につながっていると語った。

胡氏は、台湾がアメリカの国家安全保障会議(NSC)に対してより大きな影響力を持つことが重要だと述べ、台湾はインド太平洋地域の安定維持に不可欠な存在であるとアピールすべきだと主張した。

「習近平政権の五つの誤りが中国衰退を招く」

「国際関係研究センター」の宋国誠上級研究員は、「世界には政治家は多いが、真のステーツマン(立派な政治家)は少ない」と述べた。

政治大学国際関係研究センターの宋国誠上級研究員(大紀元)

同氏は、台湾の民主主義には脆弱な部分があり、中共がこれを利用して台湾の民主制度を揺るがそうとしていると警告した。

また、中共はAI技術を活用した「認知戦」や「脳戦」を展開し、台湾の戦略的位置を掌握することで、米中覇権争いを有利に進めようとしていると分析した。

さらに、中共の武力による併合は困難であり、平和的手段による併合も台湾社会の支持を得られないため、中共は台湾内部の親中勢力を支援する「内部統一」戦略を進めているとの見方を示した。

習近平政権については、「対立路線」「権力集中とイデオロギー偏重」「宗教団体への弾圧」「宣伝重視」「台湾侵攻志向」の五つの誤りを挙げ、これらが中共の衰退につながると主張した。

また台湾社会に対しては、「平和認知症(Peace Dementia)」と「小さな幸せ主義」に陥る危険性を指摘した。

長期間の平和と繁栄によって戦争の脅威への感度が低下し、政治的対立や社会の退廃を招くことが「平和認知症」であり、個人の快適さを国家の安全保障や公共利益より優先する価値観が「小確幸主義(小さな幸せ主義)」だと説明した。

「台米関係の将来に楽観的」

台湾財信メディアグループ董事長の謝金河氏(大紀元)

台湾財信メディアグループ董事長の謝金河氏は、台湾の経済はテクノロジー産業と米台関係の深化によって成長していると分析した。

同氏は、台湾の強みとして、半導体技術の優位性、サプライチェーンの完備、高いイノベーション能力、活発な株式市場を挙げ、中国を拠点とする企業の時価総額は縮小傾向にあると指摘した。

また、中共に対する警戒の必要性を訴え、「情報を受け取る際には自ら判断し、真偽を見極める知恵を持つことが重要だ」と述べた。

謝氏は台米関係について非常に楽観的な見方を示し、半導体大手のTSMCをはじめ、聯発科技、広達電脳、デルタ電子などの企業が台湾の国際的地位向上に貢献していると評価した。

さらに、AI時代において台湾は中核的な役割を担っているとして、「台湾は自信を持つべきだ」と強調した。

同氏は、台湾の株式市場は世界第5位規模に成長しており、今年には輸出額が8945億ドルに達し、世界第5位の輸出国となる可能性があるとの見通しを示した。その上で、「台湾は卓越した国家であることを世界に示し続けるだろう」と述べ、講演を締めくくった。

鍾元