スコット・ベッセント米財務長官は29日、ロナルド・レーガン大統領図書館で経済安全保障をテーマとした講演を行った。演説原稿によると、ベッセント財務長官は、数十年にわたる政策の誤りが米国のサプライチェーンの脆弱化と中国共産党など競合国への過度な経済依存を招いたと指摘した上で、トランプ大統領の経済政策がこの誤りの是正に寄与しつつあると強調した。
ロイター通信が入手した演説原稿によると、ベッセント氏は経済安全保障に関する自身の見解を示した。米国はかねてより「まどろみの中にあった」とし、快適さと消費を真の実力と繁栄と取り違え、経済的な強靭性を犠牲にして効率性を過度に重視してきたと述べた。
ベッセント財務長官は以下のように語った。
「いつの頃からか、かつての人々が直感的に理解していた基本原則を私たちは見失った。経済安全保障とは国家安全保障に他ならない、という原則だ」
「自国が必要とするものを製造し、採掘し、輸送し、精製できない国家は、自国の実力、さらには主権さえも、他者に徐々に明け渡すことになる」
「これはいかなる国にとっても危険な依存だ。米国にとっては、到底受け入れられない依存だ」
自らを経済史家と任ずるベッセント財務長官は、中国共産党の世界貿易機関(WTO)加盟を認めたことや、非市場型経済政策をルールに基づく貿易体制が規律できると過信したことなど、与野党双方による一連の政策の誤りが、米国の産業基盤の弱体化と外国サプライヤーへの依存を招いたと指摘。
競合国から重要原材料の供給を受け、米国の利益に反する国家の台頭を資金面で支援し、産業基盤を弱体化させてきたことは、いずれも国際秩序の擁護という目標に逆行するものだと述べた。
またベッセント財務長官は、国家・経済安全保障を中核に据えた関税措置を柱とするトランプ政権の「米国第一」の議題が過去の誤りの是正に着手すると同時に、政権として米国の造船能力や重要鉱物・医薬品のサプライチェーンの再構築にも取り組んでいると強調した。
トランプ政権の議題は「経済安全保障即国家安全保障」の原則に基づくものだとベッセント長官は述べており、以下のように語った。
「ただし明言しておきたいのは、この理念は世界の舞台から退くことを意味しない。むしろ、より強固で、より公平で、より持続可能な形で世界に関与することを意味する」
ベッセント長官は、米国は貿易相手国との関係を一方的に断ち切るのではなく、「健全な相互依存」と「危険な過度依存」を峻別していくと述べている。
また依存の解消は効率性の否定を意味しないとし「それは、効率性の追求が国家を危険にさらす場合に、効率性への盲目的な崇拝を拒絶することを意味する」と語った。
近年、中国共産党はレアアース等の重要鉱物の供給停止を相手国から譲歩を引き出す駆け引きの手段として繰り返し用いてきた。中国共産党は世界のレアアース採掘量の70%、精製処理量の90%を掌握しており、レアアース供給の確保は「トランプ・習会談」の交渉における重点課題となっている。
昨年10月30日、トランプ大統領と中国共産党党首の習近平は韓国で会談し、中国側はレアアースの輸出規制の1年間の延期に合意した。今月中旬のトランプ大統領の訪中でも、レアアース問題が俎上に上った。
現在、米国は交渉を通じて中国共産党からのレアアース供給を確保しているが、トランプ政権は同時に同盟国との連携を積極的に進め、重要鉱物の代替調達先の確保を模索し続けている。ベッセント長官は昨年10月の「トランプ・習会談」後、今後1〜2年以内に米国は驚異的な速度で前進し、重要鉱物における中国共産党の対米支配から脱却すると表明していた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。