トランプ氏 郵便投票制限で最高裁に再申立て 中間選挙前に司法判断求める

2026/08/14
更新: 2026/08/14

トランプ大統領は8月12日、11月の中間選挙を前に、郵便投票を制限する大統領令の主要部分を差し止めた下級審の命令の効力停止を、米連邦最高裁に再び求めた。中間選挙では、連邦議会の多数派をどちらの党が握るかが決まる。

対象となったのは、ボストンの連邦地裁判事が新たに出した差し止め命令で、同判事による同様の命令はここ数週間で2度目となる。

最高裁がトランプ政権の主張を認めれば、連邦政府は3月31日付の大統領令14399号を全面的に執行できるようになる。大統領令は、民主党が主導する23州と首都ワシントンで郵便投票の規則を厳格化する内容だ。対象となった州などが提訴している。

大統領令は、連邦政府機関に対し、州ごとに投票年齢に達したアメリカ市民の確認済み名簿を作成するよう求めている。

また、米郵政公社(USPS)に対し、郵便投票と不在者投票の取り扱いに関する新たな規則の策定手続きを始め、規則案を公表して意見を募集した上で、最終規則を公表するよう指示している。

さらに、USPSが確認済みの市民名簿に載っていない人へ郵便投票用紙を送ることを禁じ、選挙郵便の封筒やバーコードについて新たな基準を設けることも求めている。

連邦政府は7月27日にも、マサチューセッツ州の連邦地裁判事インディラ・タルワニ氏が6月25日に出した差し止め命令を一時的に停止するよう最高裁に求めていた。

タルワニ氏は、大統領令の一部は大統領の権限を超えているとして、提訴した州などを対象に執行を差し止めた。この判断の対象は、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、メリーランド州、アリゾナ州、メーン州、ニューメキシコ州などに限られる。

タルワニ氏は、大統領令の第2条と第3条の執行を差し止めた。

第2条は、国土安全保障省(DHS)に対し、各州で投票年齢に達したアメリカ市民の名簿を作成するよう指示している。第3条は、USPSに対し、連邦選挙で使われる郵便投票と不在者投票の基準を提案するよう求めている。

タルワニ氏は第2条について、完全ではない名簿を地方の選挙当局者に使わせ、「従わなければ刑事訴追を受けるとの圧力をかけるものだ」と指摘した。

また第3条については、「郵便投票を管理する権限をUSPSに委ねた法律を連邦議会は制定していない」とし、USPSには郵便投票に関する拘束力のある規則を最終決定する法的権限はないとの判断を示した。

第1巡回区連邦控訴裁判所は7月25日、タルワニ氏の判断を支持した。9月と11月に予定される選挙を前に大統領令の執行を認めれば、「混乱を招き、多くの有権者が投票権を失う恐れがある」とした。

共和党が上下両院で僅差の多数を維持しようとする中、この判断は11月の中間選挙を前にトランプ大統領が進める選挙公正化政策に打撃となった。

タルワニ氏は8月11日、「マサチューセッツ州女性有権者連盟対トランプ」の別訴訟で、新たな命令を出した。この訴訟は、米自由人権協会(ACLU)が代理する複数の市民団体が起こした。

新たな仮差し止め命令は全米に適用され、6月25日の判断とは異なり、今後の連邦選挙でUSPSが第3条を実施することを禁じた。

タルワニ氏は、連邦地裁、控訴裁、最高裁で複数の訴訟が続く中、政府側が大統領令の指示の合憲性を擁護してこなかったと指摘した。

その上で、中間選挙まで90日を切る中、郵便投票を利用する数百万人の有権者のためにも、11月の投票方法を明確にする必要があるとして、大統領令を審査する必要があるとした。

また、行政府による選挙規制への違憲な介入を認めるより、有権者の投票権を守ることが重要だと述べた。

さらに、大統領令14399号について、「すでに混乱を引き起こし、さらなる混乱と民主主義への信頼低下を招く恐れがある」と指摘。11月3日の中間選挙まで90日を切っていることから、連邦政府が「選挙直前に選挙ルールを変更する」ことを防ぐため、差し止めが必要だと判断した。

一方、「トランプ対カリフォルニア州」の訴訟で新たに提出した補充書面で、D・ジョン・ザウアー米訟務長官は、最高裁がすでに提出されている政府側の申立てについて速やかに判断する必要があると主張した。

ザウアー氏は、最高裁が判断を示さなければ、政府は11月の連邦選挙までに第3条を実施できなくなり、連邦政府や国民、選挙の公正性に回復不能な損害が生じると訴えた。

また、政府機関がまだ具体的な措置を取っていない段階で差し止め命令を出すのは手続き上、時期尚早だと主張した。

ザウアー氏は、大統領令は政府機関に対し、法律に沿った形で政策案を進めるよう指示しているにすぎず、重要な問題の判断は各機関に委ねられていると説明。政府機関が実際に具体的な措置を取り、原告側に損害が生じる前に、その実施を差し止めることはできないとの立場を示した。

また、政府機関がまだ具体的な措置を取っておらず、最終規則も策定されていない以上、原告側には訴訟の前提となる具体的な損害は生じていないと主張している。

マシュー・ヴァダムは、受賞歴のある調査ジャーナリストです。