中東緊迫で原油輸送に変化 パナマ運河の通航量が急増

2026/04/30
更新: 2026/04/30

中東情勢の緊張が続くなか、原油輸送では従来の海上ルートを避け、代替ルートを利用する動きが広がっている。これに伴い、パナマ運河の通航量が急速に増えている。一方で、海上交通の安全やルールをめぐる対立も強まっている。専門家は、世界の海運は単なる経済取引の枠を超え、地政学的な駆け引きの焦点になっていると指摘している。

ホルムズ海峡の通行が妨げられている影響を受け、日本、韓国、インド、中国などアジアの製油業者は、最近、アメリカ産原油の購入を大幅に増やしている。データによると、4月にパナマ運河を経由してアジアへ運ばれたアメリカ産原油は、日量20万バレルを超え、近年の高水準に迫った。供給元の切り替えが急速に進んでいることを示している。

航路の転換に伴い、パナマ運河では通航需要が明らかに高まっている。船舶の平均待ち時間は3.5日に延び、通航権の入札価格も上昇している。一時的な優先通航料が400万ドルに達するケースも出ているという。原油価格の高止まりに加え、石油製品を精製して得られる利幅も確保されているため、関係業者は高い通航コストを負担してでも利用を続けている。エネルギー市場の緊張が続いていることをうかがわせる。

一方、中国共産党(中共)当局は最近、パナマ船籍の貨物船への検査や差し押さえを強めており、複数の国の反発を招いている。各国は、中共が「標的を絞った経済的圧力」をかけていると非難している。米国務省とボリビア、コスタリカなど中南米5か国は4月28日、共同声明を発表し、パナマの主権を公に支持した。

専門家は、複数国が共同声明を出したことは、海上輸送をめぐる問題が政治色を強めていることを示していると指摘する。

国家安全保障戦略の専門家で、台湾開南大学副学長の陳文甲氏は、「実際に、パナマ運河はすでに世界のサプライチェーンを円滑に機能させるための重要な要所になっている。特に、スエズ運河とホルムズ海峡が相次いで地政学的対立の影響を受けたことで、従来の航路に混乱が生じた。その結果、パナマ運河が代替ルートとして注目されるようになった。輸送需要が増すとともに、戦略上の価値も高まっている。運河は経済インフラにとどまらず、政治・安全保障上の意味も持つようになっている。アメリカは長年、パナマ運河を西半球の重要な戦略資産と見なしてきた。一方、中共は港湾投資や物流網の整備を通じて影響力を拡大している。パナマ運河周辺は米中対立の一つの焦点となっている」と指摘した。

陳氏はさらに、「こうした行動は、単なる一般的な港湾管理や安全検査ではなく、明らかに対象を選んで行われている。外から見れば、圧力をかける手段と受け止められても不思議ではない。多くの国が中共を非難したことは、国際社会がこの問題に警戒を強めていることを示している。世界の海運が安定して機能するためには、自由航行という基本原則が必要だ」と分析している。

ただ、パナマ運河庁の財務責任者ビアル氏は、運河の輸送能力にはなお限界があると指摘している。パナマ運河を通過できる原油は日量100万〜200万バレル程度にとどまり、日量およそ2千万バレルが通過するホルムズ海峡の規模を代替することは難しいという。