ホンダ初の最終赤字転落 トヨタは純利益予想を上方修正 2社の違いはどこから

2026/03/13
更新: 2026/03/13

ホンダは2026年3月期の通期決算で、従来の3千億円の黒字予想から一転、4200億〜6900億円の最終赤字に下方修正すると発表した。記録が残る1975年以降で通期の営業赤字および最終赤字は初となる見込みである。一方、トヨタ自動車は通期の連結純利益予想を3兆5700億円に上方修正し、市場予想を上回る好調ぶりを示した。同じ日本の自動車メーカーでありながら、両社の業績を大きく分けた要因はどこにあるのか。

ホンダ赤字の直接原因 北米EV3車種の開発中止

ホンダの巨額赤字の直接的な引き金となったのは、北米で生産・発売を予定していた電気自動車(EV)3車種「ゼロ」シリーズのSUVとサルーンと「アキュラ・RSX」の開発中止だった。これにより、今期と来期を合わせて最大2兆5千億円(約157億ドル)のEV関連損失を計上する見通しとなった。

開発中止の背景には、米国の政治・市場環境の急激な変化がある。トランプ政権による環境規制の緩和や補助金の見直しを受け、米国内のEV需要は急速に冷え込んだ。三部敏宏社長は米国のEV需要が「想定の半分以下だった」と認めており「将来に負債を残さないよう断腸の思いで中止を決断した」と説明した。

ホンダは日本の自動車メーカーの中で最もEV推進に積極的であり、2040年までに販売の100%をEVまたは燃料電池車(FCV)とする高い目標を掲げてきた。この急進的な電動化シフトが、市場減速によるダメージを最大化させた。中国市場でも現地新興メーカーの開発スピードやソフトウェア能力に追いつけず、1100億〜1500億円の投資損失を計上したことも業績の足を引っ張っている。

トヨタとの決定的な差 HV販売の好調

ホンダがEVの不振で苦しむ一方、トヨタは米国の関税負担(1兆4500億円)という逆風を跳ね返し、営業収益で初の50兆円台に乗る見込みだ。

両社の決定的な差は、北米市場などでハイブリッド車(HV)の販売に顕れている。トヨタは販売に占めるHVの比率が約4割に達し、価格改定効果、円安効果(1ドル150円の前提)、継続的な原価改善も利益を大きく押し上げた。

EV需要の伸び悩みが顕著になる中、北米市場において、トヨタは需要の高いHVを中心に利益を大きく伸ばした。「急激な事業環境の変化に柔軟に対応できなかった」とホンダ自身が声明で認めているのとは対照的である。

今後の展望 ホンダはHV強化へ軌道修正

深刻なダメージを受けたホンダでは、三部社長ら経営陣が報酬の自主返上を発表した。「まず止血し、今後の事業競争力の再構築を図る」として引責辞任は否定している。米国でのEV需要減速を一時的なものとみながらも、直近の対策としては既存の計画とは別に、2020年代後半にかけて米国市場に新たなHVおよび大型HVを追加投入する計画へと軌道修正を図っている。

2026年3月期におけるホンダとトヨタの明暗は、米国の政策転換に端を発するEV市場の想定外の失速に対し、EV特化へと舵を切っていたホンダが直撃を受けた一方、HVという強力な武器を維持し続けたトヨタが市場の現実的な需要を刈り取った結果だといえる。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます