第217回通常国会が6月22日に閉会したことを受け、石破茂首相は23日夜、首相官邸で記者会見を行った。石破首相は、今国会の審議を振り返り「党派を超えた合意形成と真摯な国会審議に努めてきた」と述べ、2025年度予算案が衆議院では29年ぶり、参議院では初めてとなる国会修正を経て成立したことを「熟議の国会の成果」として挙げた。また、政府が提出した59本の法案のうち58本が成立し、提出した13本の条約もすべて承認されたことを報告した。

石破首相は、経済政策について「『今日より明日はよくなる』と実感できる日本の実現に向け、名目GDPを2040年に1000兆円へ、平均所得を現在の400万円から5割以上増加させることを目指す」と強調した。そのための具体策として、物価高への対応や賃上げの促進、社会保障改革、地方創生と投資の拡大を挙げた。今年の賃上げについては「2年連続で5%を超える増加となり、33年ぶりの高水準を記録した」と評価した。

物価高対策としては、与党が参議院選挙の公約に掲げた「国民1人あたり2万円、子どもや低所得者には4万円の現金給付」について、「バラマキではなく、本当に困っている方に重点化する給付金だ」と説明した。消費税減税については「無責任だ」と否定し、赤字国債に頼らず財源を確保する姿勢を示した。

外交面では、大阪・関西万博を機に40近くの国の首脳と会談したことや、G7カナダ・カナナスキスサミットでウクライナや中東、東アジア情勢について各国首脳と意見交換したことを伝えた。特に、米国による鉄鋼・アルミ製品や自動車部品への追加関税措置に関しては、「日本の産業に影響を及ぼすものであり、国益を損なわないよう全力で交渉に臨む」と述べた。
また、7月に予定される参議院選挙については「経済成長と物価高対策を主要な争点とし、与党で過半数の議席維持を目指す」と語った。
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