トランプ氏は5月19日、プーチン氏と電話会談を行い、ロシアとウクライナの停戦交渉がただちに再開される見通しであると明らかにした。
トランプ氏は会談後、自身が設立したソーシャル プラットフォーム、トゥルース・ソーシャルに投稿し、「会話のトーンと雰囲気は非常に良好だった」と述べ、会談の手応えを強調した。
またトランプ氏は、プーチン氏との通話直後にゼレンスキー氏や複数のヨーロッパ諸国の首脳とも協議し、交渉が即座に始まることを伝えたと示唆した。
ロシア国営のタス通信が伝えたところによると、プーチン氏は会談後の声明で、「ロシアはウクライナ側と将来的な平和条約の可能性について協議する覚書作成に向け、引き続き取り組む用意がある」と述べた。
一方、ゼレンスキー氏も同日、Xに声明を投稿し、「ウクライナはこれまでも、そして現在も、停戦と戦闘終結に向けた交渉に前向きだ」と表明。
「ウクライナ側はすでに実のある決定を行う準備が整っている。今必要なのは、ロシア側が同様に真剣に交渉に臨む姿勢を示すことだ」と述べた。
今年3月、ウクライナはアメリカが提案した30日間の停戦案を支持し、恒久的な和平合意に向けた前段階と位置付けていた。プーチン氏も当初はこの案に一定の関心を示したが、正式な支持は表明しなかった。
4月下旬には、プーチン氏が第二次世界大戦における対ナチス・ドイツ勝利80周年に合わせ、5月8日から10日までの一時停戦を一方的に発表。これに対し、ゼレンスキー氏やヨーロッパの首脳らは停戦期間の延長を要請し、応じなければ追加制裁を科すと警告したが、ロシア側はこれに応じなかった。
ヨーロッパの各国首脳はその後、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプラインへの制裁と、ロシアの「影の艦隊」と呼ばれる商業船団を対象に、新たな制裁を検討している。この艦隊は国際的な貿易制限の回避に関与し、西側諸国の海底インフラに対して秘密裏に破壊工作を行った疑いが持たれている。
また、トランプ氏は4月時点で、両国の間に進展が見られなければ、和平交渉の仲介から撤退する可能性を示唆していた。
ゼレンスキー氏は19日の声明で、「アメリカが交渉と平和の追求から後退すれば、それによって利益を得るのはプーチン氏だけだ」と述べ、トランプ氏に対し、引き続き和平への仲介を継続するよう要請した。
なお、両首脳との電話会談の直前、16日にはトルコでロシアとウクライナの代表団による直接協議が行われていた。これは3年以上に及ぶ戦闘の中で初の直接対話となる。
ゼレンスキー氏はプーチン氏との直接会談を要請したが、ロシア側はこれを拒否した。代わりにより低いレベルの協議が行われ、両国はそれぞれ1千人の戦争捕虜を解放することで合意した。
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