2月18日、米連邦地裁のクリストファー・クーパー判事は、連邦政府による大規模解雇と早期退職勧奨を差し止めるべきかについての審理を行い、「できるだけ早く判断を下す」と述べた。
裁判では、連邦職員の労働組合が、トランプ前大統領による大規模な人員削減が、議会の決定した予算の意図や法律に反していると主張した。
クーパー判事は、「解雇の規模が議会の意図を損なうレベルかどうかが焦点になる」との見解を示し、「一定数を超えた解雇は、議会が割り当てた予算の目的を果たさないことになる」と指摘した。
政府側の主張:差し止めの必要性なし
政府側は、労働組合側は、不可逆的で差し迫った損害を証明できていないと反論した。
また、退職勧奨の違法性を問う労働組合側の主張についても、「法的問題はなく、プログラムを延長・拡大する計画もない」と説明した。
退職勧奨プログラムは、人事管理局からのメールで200万人以上の連邦職員に通知された。
通知には「9月30日まで給与と福利厚生を全額支給する代わりに、辞職するかどうか選択するよう求める内容」が記されていた。また、「多くの政府機関が今後の組織再編や人員削減により縮小される見込み」とも警告された。
すでに数万人がこのプログラムを受け入れたという。
労働組合「組合の存続が危機に」
労働組合側の弁護士は、「この人員削減は、組合の存続そのものを脅かす事態だ」と指摘。「職員数が減れば、組合費の収入も減少し、交渉力が失われる」と訴えた。
さらに、「仮に解雇された職員が復職しても、その間の組合費は失われ、財政的な損害は回復できない」と主張した。
これに対し、政府側の弁護士アビシェク・カンブリ氏は、「それは単なる経済的損失であり、法的に差し止め命令を出すべき理由にはならない」と反論した。
また、「政府機関には、法律上、一定数の職員を維持する義務はない」とし、議会の権限を侵害しているとの指摘を否定した。
しかし、クーパー判事は、「政府は、各機関がその業務を遂行するために必要な職員数を考慮する必要がある」とし、政府の主張に疑問を呈した。
労働組合側は、「解雇の進め方にも問題がある」とし、「適正な基準に基づく選考ではなく、新規採用の試用期間中の職員が優先的に解雇されている」と批判した。
これに対しカンブリ氏は、「人事管理局は、解雇する職員ではなく、試用期間中の職員のうち留任すべき人員のリストを求めている」と説明した。
通常の労働問題と異なる点
審理では、「この問題は本来、メリットシステム保護委員会(MSPB)や連邦労働関係局が扱うべきもの」と全当事者が認めた。
しかし、原告側の弁護士は、「対象となる職員の数が膨大であり、個別の苦情申し立てをするには手続きが煩雑すぎ、長期間を要する」とし、裁判所による判断を求めた。
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