「空から何か降ってくるかもしれないと、外へ出るたびドキドキする」
そう語るのは中国・上海にあるとある集合住宅の住民たちだ。
上海のとある集合住宅で起きている「高所からのポイ捨て」事件について、中国メディアが取り上げた。
住民は長年(5年ほど)この問題に悩まされており、被害に遭わぬよう常に神経を尖らせている。
「ポイ捨て」犯は、「掃除がなってない!」と住民からの苦情により、クビになった集合住宅の元清掃員の女性だという。彼女はクビになった後、マンションの最上階の家に入居し、住民に報復するため、そこから「悪意を持って」様々なモノを投げ落としてきたという。
食べ終わったフードデリバリーの入れ物や靴、ゴミなどから、ひいては排泄物まで、何度も投げ落とされてきたという。
この事態に、住民たちはあちこちの関連部門に苦情を言い、警察も呼んだが、まだ「交渉中」で、問題の完全解決には至っていないという。
「外へ出るたび頭上を気にしないといけない。被害を受けたくないから窓も安易に開けられないし、洗濯物を干すのも怖い…」住民たちは関連部門の介入を呼びかけ、「事件」の早期解決を願っている。
以上に上げたのは一例でしかない。中国では近年、「高所からのポイ捨て」事件がたて続けに起きており、もはや一種の社会問題となっている。
「ゴミ」がかわいく思えてしまうほど、なかには「排泄物」や「ナイフ」など危険極まりないものまで、投げ落とされる事件も実際に起きている。
「排泄物事件」過去にも
9月に江蘇省蘇州市の集合住宅地でも同様の「排泄物が落ちてきた」事件が起きている。
排泄物が家の窓などについたとして、住民が110番通報をし、こちらの集合住宅も犯人を特定するため、全住民がDNA検査を受けるはめになった。
最終的に「DNA検査」の知らせを聞きつけた犯人は、プレッシャーに耐えきれず、自首したという。
「高所からのポイ捨て」は犯罪
中国では、高層マンションなどの高所から物を故意に投げ捨てる行為は、犯罪と見なされ、懲役や終身刑、死刑もあり得る。しかし、「人的、物的被害がなければセーフなのか」?
8月、北京市の裁判所は「人的および物的被害がなかった」高所からのポイ捨て事件を審議した。
ガラス瓶や缶などのゴミを9階から投げ落とした被告は、一審判決で執行猶予付き5か月の懲役刑と2千元(約4万円)の罰金を言い渡された。被告は上訴をしないという。
例え卵であっても、18階から投げ落とされれば人間の頭蓋骨を割る威力を持つ。25階から投げ落とされた卵が直撃すれば人間を死に至らせることもあるとして、中国メディアは「高所からのポイ捨ての危険性」を知らせ、「マナー向上」を呼びかけている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。