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中国寧波で乳児手術死 同じ医師の関与は3例目との指摘

2025/11/19
更新: 2025/11/20

近日、生後5か月の乳児が手術後に突然死亡し、家族は訴える場がないため、ネット上で不当性を訴えており、大きな注目を集めている。関係する寧波大学附属婦女児童医院は検索ランキングの上位に入り、担当医師が以前にも同様の手術で乳児を死亡させたとの情報も出ている。

「手術成功」と伝えられた直後に死亡

ネット上で拡散された告発動画では、女性が自分は鄧蓉蓉と名乗り、生後5か月の赤ちゃんが同病院で心臓手術を受けた際に亡くなったと述べている。

鄧さんによると、赤ちゃんは早産で1か月早く生まれ、退院後は寧波で最も権威があるとされる同院で月1回の定期検査を受けていた。11月11日の心臓エコー検査で、心房中隔欠損の二つの二次孔(3ミリと7ミリ)が見つかった。家族が調べたところ、多くの乳児は1歳前後で自然閉鎖する可能性があると知り、成長を待つ選択肢も検討した。

しかし担当の心臓外科医・陳賢君医師は、欠損が大きく自然閉鎖の確率は低いと説明し、肺や授乳、成長発達、脳の発育に影響するとして早期手術を強く推奨した。手術は腋下からの小切開による低侵襲手術で、手術時間は2.5〜3時間、再発はなく永久的に欠損を閉じることができ、リスクは200分の1で難易度は高くないと説明したという。

手術は11月14日午前9時25分に開始されたが、終了したのは16時37分で、全身麻酔時間は7時間12分、準備も含めると約9時間に及び、事前の説明を大幅に超えた。午後1時を過ぎても手術が終わらず、家族は不安を募らせた。

午後3時から4時にかけて4度病院に問い合わせ、医師または責任者との面会を求めたが応じてもらえなかった。午後4時頃、医師から「手術が順調ではない」と説明があり、「命の危険はあるのか」との問いには「五分五分だ」と答えたという。

鄧さんによると、手術中に起きた大事なことは家族には全く伝えられていなかったという。

午後1時ごろには手術がうまく進まず、いったん閉じた胸を再び開いて手術が行われていた。16時37分に手術室から出てきた娘は顔が腫れ、全身に管がつながれた深刻な状態だったが、別の医師は家族に「手術は成功しました」と伝えた。鄧さんは「その時点で娘は危険な状態だと直感した」と振り返った。

鄧さん一家が手術室の監視カメラ映像の確認を求めたところ、病院側は「記録はない」として拒否した。

また、赤ちゃんは22時03分に死亡を宣告されたが、一方、22時20分の既往歴には「生命徴候は安定」と記録していたという。

鄧さんは涙ながらに、ICUに付き添うと「娘の全身は紫色になり、顔や体には血がついていて、目尻には乾いていない大きな涙が一粒残っていた」と語っている。また、「多くのプラットフォームで投稿が削除された」とし、ネットユーザーに注目と拡散を求めている。

 

医師らも疑問を呈す

この訴えはウェイボー(中国版X)でも大きな反響を呼び、実名認証された複数の医師からも専門的な指摘が上がっている。

IPアドレスが北京と表示される「付虹医生」は「こんなに小さな子の心房中隔欠損が手術適応なのか。手術のための手術になっていないか」と投稿。

ウェイボースクリーンショットより

IPがアメリカと表示される「寒江独钓僧」は「中国国内の基準は分からないが、私が勤務している病院では、この種の手術の適齢は通常2〜5歳。重症でない限り、生後5か月で手術は行わない。欠損が小さければ、特に3ミリ以下なら99%の確率で1歳前に自然に閉じる。8ミリを超えると自然閉鎖しにくい」と説明した。

ウェイボースクリーンショットより

 

内部告発「肺静脈を縫い込んだ」

さらに、病院内部の関係者とされる投稿では「心房中隔欠損(ASD)の閉鎖を行う際に縫合がうまくできず、肺静脈を縫い込んでしまった。心臓の縫合を終えた後、経食道エコーで肺静脈閉塞が確認されたため、再度体外循環を立ち上げ、右心房を再度開け、パッチをすべて外し、ウシ心膜パッチで欠損を閉じた。つまり、2回手術を行った」と記されている。

ウェイボースクリーンショットより

寧波大学附属婦女児童医院は「家族と法に基づいて適切に対応する」と述べ、詳細は明らかにしていない。寧波市衛生健康委は、この件は「比較的重大な医療紛争であり、医療紛争処理条例に基づき対応中」と説明した。

過去にも乳児3人が死亡との書き込み

ネット上の情報では、担当医師は昨年以降、同様の手術で3人の乳児を死亡させており、今年6月の死亡例については病院が情報を抑えたとの書き込みもある。

あるネットユーザーは「悪質な寧波婦児医院心外科の陳X賢が1歳児を死なせた」と投稿。投稿によると、彼女の13か月の子供が病気のため同病院で胸腔結紮術を受けることになり、6月2日に入院、6月4日に手術が行われた。

本来は「2時間ほどで終わる」と説明されていた手術が、実際には8時間もかかったという。にもかかわらず、担当医師は「手術は順調だった」と告げた。しかし子供は手術室から直接ICUへ運ばれ、最終的には大出血による多臓器不全で亡くなった。

また「宁波浪里浪小仙女」は「これは医療事故ではなく、赤ちゃんを実験台にしたようなもの。本来は急ぐ必要のない手術で、成長とともに改善する可能性もある。家族は医師に深刻だと言われて怖くなり、しかも医師がリスクは非常に低い、これは低侵襲手術だと強調したため、手術を決めた。ところが、2時間の予定が7時間以上(全身麻酔)になり、その途中で危篤状態になり2回も開胸したのに家族には知らせなかった。手術が終わって出てきたときには『手術は順調だった』と言いながら、実際には赤ちゃんはすでに亡くなっていた。

だから、これはこの医師自身に問題があったのだと思う。名声を上げたいとか、病院のノルマを達成したいとか、あるいは何か不適切な処置を行っていたのかもしれない。この医師の手術では、すでに3人の赤ちゃんが続けて亡くなっている」

臓器収奪や病院腐敗を疑う声も

さらに、一部のネットユーザーからは、「臓器を取るためにわざとやったのではないか。いま、こういう病院は多い」と、臓器収奪との関連を疑う声も上がっている。

また、病院の腐敗を指摘する声もある。「協和医院4+4」事件だ。「こうした事例が1件2件と出るということは、内部が相当腐敗している」といった投稿も見られた。

 「協和医院4+4」とは、中国で2025年春発覚した、北京中日友好病院の医師・肖飛が、不倫関係にあった研修医の董襲瑩と共謀し、医学界の特別選抜制度「4+4プログラム」を利用した学歴ロンダリングや論文捏造を行っていたとされる事件だ。

こうした一連の問題が重なったことで、医療業界の特権階級の存在、不正の蔓延、教育制度の公平性の欠如が改めて強く批判され、医療界全体への不信が中国で急速に広がっている。

 

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。