「他们赌我们只有七秒的记忆,但这一次我们不会忘记。」
(彼らは私たちの記憶が7秒しかもたないと賭けている。だが今回は違う、私たちは忘れない。)
「え? まだ続いていたの?」――そう驚く人も多いだろう。
中国人俳優・于朦朧(ユ・メンロン/ユ・モンロン/アラン・ユー、37歳)は2025年9月11日に北京の高級住宅地で転落死したと公式には報じられた。しかし一方で、死亡日は9月9日前後であり、転落による死ではなかったとする声も浮上しているが、公式には「酒に酔った後の墜落死」とされた。
だが華人の間では、それを「国家権力による虐殺」と断じる声が圧倒的である。
事件から2か月が経った今も、関心は冷めるどころか、勢いを増し続けている。
「彼ら(国家権力側)は私たちの記憶が7秒しかもたないと賭けている。だが今回は違う、私たちは忘れない」――この言葉は、今や世界中の華人が口にする「合言葉」となった。
もともと「インターネットの記憶は7秒しかもたない」という皮肉な常套句があったが、今回ばかりはそれを覆し、人々の記憶と怒りは消えるどころか、日に日に拡大している。真相を求める人々の行列に、いまも毎日のように新たな参加者が加わっている。
中国本土はもちろん、海外在住の華人、そして一般の市民までもがSNS上で独自に調査を始め、その熱量はまるで連鎖反応のように世界中へ広がっている。
沈黙を強いるほど、人々の追及は加速している――止まる気配はない。

彼の死をめぐっては、中国では史上最強の封殺と検閲が敷かれている。
関係者には取材禁止どころか命を賭けた沈黙の強要。
現場の住民には高額な口止め料が支払われ、拒めば命の脅迫。
真相を追おうとした市民の一部はいまも行方不明のままだ。
語ろうとした者は次々と姿を消し、残されたのは恐怖と沈黙――。
この異常な静けさが、かえって人々の確信を強めた。
「真相は中国共産党の闇を照らし、その根を揺るがす」――そう誰もが感じ始めている。
本連載は、公開情報と、検閲下の中国および華人圏で拡散している多様な証言・主張を区別して構成している。後者には現時点で公的な裏付けが得られていないものも含まれるが、それらが指し示すのは、この事件の闇が想像を超えて深く、公安や検閲部門すら恣意的に操ることができる超大物とその背後の組織の存在である。
もし事件の真相と背後の権力構造が明らかになれば、中国共産党体制そのものが揺らぐほどの爆発力を持つだろう。
ゆえに今、確たる証拠は存在しない。存在できない。
真実が公になるのは、おそらく政権崩壊の後になるだろう。

「善良な人」
于朦朧は、本来どこまでも善良で、静かな光を放つ俳優だった。
多くのメディアが彼を「人気俳優」と報じているが、ここで正確に記しておきたい。
生前の彼は決して有名ではなかった。筆者も含め、特に海外に住む華人の多くは、彼の名を知らず、作品を見たこともなかった。
しかし、彼の死をきっかけに人々は彼を知り、その清く正しく、善良で誠実な生き方を知るほどになった。
「なぜこんな人が犠牲にならなければならなかったのか」と誰もが胸を痛めた。

12年間にわたり支配され、虐げられ、最後には「生贄」として処理された。
これが、世界中の「華人ホームズ」たちがたどり着いた結論である。
一人の命、それは無名の庶民ではなく、二千万を超えるフォロワーを抱えた影響力ある人物だった。
その命が、特権階級と利益集団、さらには国家権力の都合によって無残に踏みにじられた。
これを見過ごすことは、沈黙による共犯を意味する。
ここで声を上げなければ、次に犠牲になるのは自分か、あるいは自分の子供かもしれない。
誰が自分のために声を上げてくれるのか。
この問いはいま、中国社会のすべての人の良心と行動に突きつけられている。そして、この事件は、長く沈黙を強いられてきた人々の心を呼び覚ました。

于朦朧という名は、もはや一人の俳優を超え、中国社会の良心を映し出す象徴となった。
その死は、体制の闇を照らし、多くの人々に「沈黙をやめる勇気」を与えた。
専門家や政治アナリストの多くは、彼の死がもたらした社会的衝撃の大きさに驚きを隠せない。
ほとんどの識者が口をそろえて、この出来事こそが中国共産党体制の崩壊を加速させる決定的な引き金になると語っている。
なぜ人々は、そこまで執念を燃やせるのか
中国国内外の多くの市民は、事件をこのまま闇に葬らせまいと動き出した。当局の発表を信じるにはあまりに情報が乏しく、真実を知る術も与えられなかったからだ。それでも、正義と真相への執着が人々を突き動かした。誰もが、自らシャーロック・ホームズになるしかなかった。
無数の情報の中から手掛かりを拾い、「証言」と呼ぶには裏付けの難しいSNS上の匿名投稿や断片的なコメントを照合し、写真や映像の欠片を重ね合わせながら、封じられた真実に迫ろうとしている。その粘りと執念こそが、この事件をいまも生き続けさせている。

記者の覚悟と「自殺しない宣言」
本連載で扱うのは、当局が「デマ」と呼ぶ民衆の調査記録であり、現時点で最も真相に近いとされる情報である。
もちろん中には虚報も混じる可能性はあるが、数多くの検証者が証言や映像、日時の整合を突き合わせ、裏付けの取れた情報だけを選び抜いている。
この記録は、世界中の華人が命がけで掘り起こした、「真相に最も近いかもしれないカケラ」である。
中共による浸透とスパイ網が深く張り巡らされた日本にいながら、真実を伝えることがどれほど危険な行為であるかを筆者は十分に理解している。
それでも、「真実と伝統と希望」を掲げる大紀元の記者として、書くべきことを記し、伝えるべき声を届けたい。
中共体制に立ち向かう多くの華人たちがそうしてきたように、ここに私自身の「自殺しない宣言」を添える。
筆者は自殺する意志は一切ない。
今後も、事件の進展や新たに見えてくる証拠、沈黙の裏で動く権力の影を追い続ける。
真相が明らかになるその日まで、筆を止めることはない。

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