社会問題 たまにある「苦難の旅」

中国の列車で「一等席」のはずが「終点まで立ちっぱ」?

2024/09/30
更新: 2024/09/30

せっかく購入した列車チケット、席の上で風景を眺め、長旅を楽しむ……。そのはずが、とんでもない「苦難の旅」になることは、中国では、「たまに」ある。

今月21日、「一等席を買ったのに、結局は終点まで立ちっぱなし、その挙句、返ってきたのは席料金の差額だけ」という運の悪い中国の乗客が大量発生していたことがわかった。

「自分を含めて、約100人は座る席もなく、終点まで立ちっぱなしだ」と訴える女性乗客の王さんは、中国メディアに対して、自身の「苦難の旅」について明かした。

数日前に「杭州(浙江省の省都)から北京行きの高速鉄道「復興号、17両編成」の17号車の一等席の切符を購入した王さん。

しかし、乗車してすぐ、「列車故障の知らせ」が届き、提示された解決策は2つ、「乗車を取り消す」か、「別の列車に乗るか(1時間ほどの待ち時間を要する)」だったという。

そこで王さんはその他大多数の乗客と同じく、「別の列車に乗る」ことにした。しかし、そこで問題。王さんが購入したチケットは「17両編成」の列車の17号車の一等席だが、代わりに運行された列車のほうは16両だ。

席もないのに、無理やり車内へ押し込まれた王さんたちだったが、この時、乗務員は車内アナウンスを通じて、「列車は南京の駅で再度入れ替えます。入れ替えた車両は元のと同じタイプのものなので安心してください。座席がなかった乗客には、差額の料金を返金します」との趣旨を伝えていた。

「それならば」と南京駅まで頑張った王さん。しかし、いざ南京駅で乗り換えたら、新たな列車はまたしても「16両編成」だったという。

「何よ! 嘘つき!」と怒りを噛みしめ、致し方なく乗車して、結局は終点まで立ちっぱなしという苦難だった。

その後、終点・北京の駅で、王さんと他の乗客は座席料金の差額を返金してもらったが、王さんはこれだけの対応だけでは納得いかず、「鉄道会社の謝罪と全額返金」を要求した。

なお、王さんが購入した「一等席」切符は1077元(約2万2千円)だった。

「事件」の2日後(9月23日)、上海鉄道のカスタマーサービスセンターのスタッフは、「関連乗客に対して順番に謝罪している」とだけ回答し、チケット払い戻しや補償の件については回答しなかった。

王さんと同じ「経歴」を持つ乗客たちも相次いで中国SNSを通じて、自分たちの「苦難に満ちた旅」について訴えており、ネット上でも「切符の全額返金は正当だ」とする声は根強い。

 

以前にも

以前にも、高速列車の故障発生により、乗客が終点まで「立ちっぱなし」を余儀なくされるケースが起きている。

中国メディアによると、「2月1日の『G1265便』も故障になり、替えの車両の座席は元車両より97席も少なかったため、100人近い乗客が座る席もなく、約6時間立ちっぱなし」と伝えている。

しかし、これら不運な乗客たちは、その後苦情を申し立てるルートもなく、泣き寝入りするしかなかったという。

 

G1265便の乗客たち、2024年2月1日(SNS投稿動画よりスクリーンショット)

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!