政府、2025年度に防衛予算を史上最高額に引き上げ、反撃能力を強化

2024/09/01
更新: 2024/09/01

政府は2025年度の国防予算を10.5%増の8兆5389億円に引き上げ、史上最高額を更新した。この予算増加は、中共の継続的な軍事活動と領海侵犯に対抗し、反撃能力を含む複数の防衛項目を強化するためのものである。

中国共産党(中共)の軍事偵察機(Y-9)が日本の領空に侵入してから4日後の8月30日、防衛省は2025年度の防衛予算案を発表した。

翌日、中共海軍の調査船が再び日本の領海を侵犯し、政府は再度強く抗議を行った。中共からの脅威が高まる中、政府は防衛予算をさらに増加させ、防衛力と抑止力を強化する方針を示している。

8月30日、防衛省は2025年度の国防予算案を発表し、総額は8兆5389億円を要求した。これは2024年度の予算より10.5%の増加であり、再び歴史的な最高額を更新するものである。

中共の軍事的脅威

予算案が発表された翌日、8月31日には、中共海軍の測量船が鹿児島県沖の日本領海を再び侵犯した。これに対し、防衛省は外交ルートを通じて強い懸念を表明し抗議を申しいれた。

政府は、中共軍が鹿児島県口永良部島周辺および太平洋でデータを収集していると考えている。これは、戦争が発生した際に潜水艦を太平洋に展開し、米軍艦艇に脅威を与えることを目的としているとされる。

防衛省の合同参謀本部によれば、これまでに日本は中共軍艦の日本領海侵入に関する通知を13回発表しており、そのうち11回が口永良部海域でのものである。2021年11月以降、中共海軍のこのような行動はより顕著になっている。

中共、ロシア、北朝鮮からの軍事的脅威が増大する中で、日本は防衛力の強化を急いでいる。

木原稔防衛大臣は2025年度の防衛予算案を発表した後、日本の防衛力と抑止力をさらに強化するためには、怠ることなく迅速かつ着実に必要な項目を実施する必要があると述べた。

2025年度の防衛予算の概要と主要な投資項目

日本の防衛省が発表した「防衛力抜本的強化の進捗と予算-令和7年度概算要求の概要」によれば、2025年は日本の防衛力計画調整の第3年にあたる。この計画に基づき、防衛能力を抜本的に強化するために予算請求額が増加し、主に以下の7つの分野を推進する。

  1. スタンド・オフ防衛能力
  2. 統合防空ミサイル防衛能力
  3. 無人アセット防衛能力
  4. 領域横断作戦能力(宇宙・サイバー・陸海空領域)
  5. 指揮統制・情報関連機能
  6. 機動展開能力・国民保護
  7. 持続性・強靱性(弾薬・維持整備・施設の強靱化)

2025年度の予算案では、9700億円が開発や調達に使われ、反撃能力を強化するための長距離ミサイルやその発射装置、イージス・システム搭載艦などに充てられる。また、「区域外防御能力」として、12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)の配備を1年前倒しする(2026年度→2025年度)、トマホークの取得も1年前倒しする(2026年度→2025年度)とし、操作訓練や関連試験を実施する予定である。

日本の防衛における「反撃能力」について、日本政府は『国家防衛戦略』において、敵が弾道ミサイルなどを用いて日本に武力攻撃を行った場合、武力行使の三つの要件に基づき、武力攻撃を防ぐために、やむを得ずとる最低限の自衛措置として、自衛隊が敵の領土に対して効果的な反撃を行うことができると定めている。

自衛隊が必要に応じて「反撃能力」を使用することは、日本の戦後の自衛原則における重要な突破口と見なされている。

「統合防空ミサイル防衛能力」には、イージス・システム搭載艦の基本設計を完了し、詳細設計を加速する(2024年2月~)、GPIの日米共同開発に関するプロジェクト取決めに署名する(2024年5月)などが含まれている。

日本の防衛省は、3232億円をミサイル検知のための衛星コンステレーションの構築に計上する予定である。このシステムは2025年に衛星の打ち上げを開始し、2028年に正式に運用する見込みである。

日本の防衛省は、新世代の防衛通信衛星ネットワークを構築し、「領域横断作戦能力」を向上させるとともに、新たな宇宙作戦部隊(仮称)を設立し、宇宙空間の監視および反応任務を実行する予定である。

陸、海、空の領域に加え、日本の防衛省は宇宙(衛星の活用による情報収集機能の強化等)、サイバー(セキュリティ対策の強化等)、電磁波(電子戦能力の強化等)などの組合せにより非対称的な優勢を確保していくため、抜本的な強化が必要である。そのため、2025年度には5974億円の予算を計上し、宇宙での情報収集などの宇宙領域における能力を強化する予定。

さらに、伝統的な海陸空の戦闘能力を強化するために、約1兆1446億円の予算を計上する計画である。また、指揮統制・情報関連機能を強化するために、9072億円の予算を見込んでいる。

無人アセットの活用と人員不足への対策

自衛隊の規模が徐々に縮小している問題に対処するため、日本の防衛省は監視や作戦用の無人アセット防衛能力に注力している。この分野の2025年度予算は1032億円である。さらに、3140億円を投じて3隻の新型多機能護衛艦(FFM)を建造する計画である。この艦は、現在の駆逐艦の半分の人員で運用でき、90名の海軍人員のみで運用可能だという。

また防衛省は180億円を投じて、日本の40か所の自衛隊駐屯地等警備のリモート監視システムを導入し、1千名の兵士を削減する計画である。また、沖縄の自動化倉庫プロジェクトには43億円を割り当てる予定である。

予算報告によれば、無人アセットは革新的なゲームチェンジャーであり、人的損耗を局限しつつ、空中・水上・海中等で非対称的な優勢を獲得することが可能である。長期連続運用などの各種制約を克服し、隙のない警戒監視態勢を構築することができる。

現代の戦争環境において、日本の出生率の低下、人口の高齢化、自衛隊の兵員不足という状況の中で、無人アセットは日本の軍事建設の重要な柱とされている。

2023年、日本の自衛隊は1万9598名の自衛官を募集する計画であったが、実際には9959名しか集まらなかった。この厳しい状況の背景には、少子高齢化に加え、日本の大学生の就職率が非常に高い(98.1%)ため、優秀な人材の争奪が激化していることにある。現在、日本の自衛隊の人数は約24万7千人であり、この定員は来年も変わることはないであろう。

自衛隊が直面している人員不足の問題について、木原防衛大臣は、防衛省が待遇の改善や職業の魅力向上、部隊の先進性、外部の力の活用などの施策を通じて、根本的に人員の基盤を強化する方針であると述べた。

中共からの脅威が増大

近年、国際情勢の急激な変化に伴い、中共のアジア太平洋地域における拡張的な覇権行動がますます強化され、徐々に攻撃的な姿勢を見せている。

防衛省は、国防費が大幅に増加する中で、中共が海軍、空軍、核兵器、ミサイルを中心とした軍事力を大規模に強化していると考えている。過去20年間で、中共の軍事費は7.9倍に増加し、日本の防衛費は1.6倍増加している。

中共の軍艦などの船舶は東海で継続的に活動しており、特に尖閣諸島近海で非常に活発に動いている。また、中共の軍用機、ドローン、潜水艦、航空母艦なども尖閣諸島や沖縄の空域で頻繁に活動している。

中共軍は、海上および空中での軍事活動を急速に拡大し、強化している。また、一方的な行動もエスカレートしている。彼らは、日本海や太平洋、さらには尖閣諸島周辺での活動を固定化する計画を立てているようである。今後、日本海や太平洋での活動はさらに拡大し、より活発になると予想される。

読売新聞が今年4月に発表した世論調査によれば、日本国民の84%が安全保障に脅威を感じている。その中で、中共からの脅威を感じている人は91%であり、2023年の86%から5ポイント上昇している。

また日本の防衛力強化に賛成する人は72%を占めている。また、50%の回答者が、2022年12月に日本政府が『国家防衛戦略』などの3つの文書を改訂し、日本の防衛能力を根本的に強化することに「賛成」と答えた。

57%の回答者は、自衛隊が敵のミサイル発射基地を破壊する「反撃能力」を持つべきだとの意見に賛成している。日本は2023年度からの5年間で防衛支出を約43兆円に増加する予定である。これに対して、53%の回答者が国防支出の増加を支持すると述べている。

呈工