鬼木誠防衛副大臣は29日、フィリピンを訪問し、同国のテオドロ国防相と会談した。日本がフィリピンに供与する移動式警戒管制レーダー2基目の引き渡し式典にも出席した。東アジア地域における中国共産党の拡張に対して連携して抑止を図る。
供与したレーダーはフィリピン空軍の監視・早期警戒能力を高めるとともに、日比の防衛協力を強化する。テオドロ国防相は式典で、レーダーは「領空の状況把握に重要な役割を果たす」と述べた。パレーニョ空軍司令官も、「地域の地政学的情勢が変化する中、潜在的な脅威に目を光らせるのに不可欠だ」と語った。
レーダーは三菱電機が製造した。日本政府は防衛装備移転三原則が制定されて以降初となる完成装備品の輸出となる。フィリピンに計4基のレーダーを輸出する予定で、昨年12月に1基目を引き渡している。
日本にとってフィリピンは、中国共産党が「米軍を侵入させない」防衛線と位置づける第1列島線上にあり、台湾と向き合う軍事上の要衝だ。日比は2回目の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を年内に開催し、自衛隊とフィリピン軍の共同訓練などをしやすくする「円滑化協定(RAA)」の締結を目指している。
5月にはハワイで日米豪比防衛相会談
木原稔防衛相は5月2日に米ハワイを訪れ、日米豪比防衛相会談に臨む。米国のオースティン国防長官、オーストラリアのマールズ国防相も出席する。4か国は先日、南シナ海で共同訓練を実施したばかりだ。今回の会談では、防衛・安全保障面での協力深化を協議する見通しだ。
4月12日に開かれた日米比首脳会談について、中国は「対立を煽っている」と反発を示した。これに対し、フィリピンのロムアルデス下院議長は記者会見で、「会談は安全保障だけでなく、経済的にもフィリピンの利益になる」との見方を示した。
同議長は、「比米、比日の二国間関係を確認し、南シナ海での中国との係争でフィリピンの立場を強化する一方、マルコス大統領が進める投資促進にもつながる」と指摘。「長期的には経済面でも安全保障面でもフィリピンを助ける」と強調した。
日本は、インド太平洋地域での権益を同盟国と連携して守る方針を鮮明にしている。海洋国家であるフィリピンやオーストラリアとも、海洋の安全保障をめぐり、緊密に連携を図っていく構えだ。
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