経済不安 中国国債利回りが22年ぶりの低水準に

2024/06/28
更新: 2024/06/28

中国の国内経済への懸念が続き、さらなる刺激策への期待から、投資家は引き続き中国国債を購入している。その結果、国債利回りは20年以上ぶりの低水準に達している。

6月26日(水)、中国のオンショア10年国債利回りは2.22%に低下し、これは2002年以来の最低水準である。20年国債と50年国債の利回りも数か月間にわたり歴史的低水準にある。

中国経済の成長が鈍化し、金融政策が緩和的であること、銀行システムの流動性が豊富であること、そして貸出需要が低迷していることから、国債の価格は強い上昇を示している。たとえ政府が財政刺激策を打ち出しても、国債への投資意欲は止まらない。

中国人の投資ジレンマ

中国の投資家にとって、手元の人民元が価値を下げる懸念と、投資による損失の恐れというジレンマがある。株式市場不動産市場が長期的に下落傾向にある中で、投資家は資産価値を保つために国債に資金を移している。これが人民元の為替レートに影響を及ぼしている。

ブルームバーグによると、新加坡華僑銀行のストラテジスト、フランシス・チャン氏は「リスク感情が低迷しており、投資家は他に良い選択肢がないと感じているため、避難資金が国債に流れ込んでいる」と述べている。

日経中文網によると、中国では農村金融機関が国債市場への資金集中の主役となっている。国有大銀行と比べ、農村金融機関は顧客基盤や資力が弱い。また、不動産市場の低迷と株式投資の不確実性から、国債は一般市民にも人気のある選択肢となっている。

中国人民銀行の懸念

国債市場の過熱を懸念する中国人民銀行は、5月末に介入の可能性を示唆した。人民銀行は、投機的な国債投資を抑制するために、口頭での警告を行っている。

5月10日の金融政策執行報告書では、「短期的な投資行動がもたらす損失を防ぐ」と述べている。5月17日には、中共(中国共産党)の《金融時報》は専門家の分析を引用し、10年国債の利回りは2.5~3%が適正範囲であると指摘した。しかし、現在の10年国債利回りは2.22%であり、この範囲を下回っている。

米国の10年国債利回りが約4.23%である中で、米中利回りの逆転が起きている。人民元が利下げしなくても、FRBが高金利を維持する限り、人民元の為替レートに対する圧力は続くと予想される。

中国人民銀行は、人民元の為替レートを連続して引き下げており、ブルームバーグのアジア外為ストラテジスト、スティーブン・チウ氏は、「人民銀行は最終的に何らかの措置を講じるだろう」と述べている。これは流動性の引き締めや国債の売却を含む可能性があるが、長期的には利回りの低下傾向が続くと見られている。

林燕