中国経済の減速と金融リスクの高まりが銀行業界に打撃を与えている。中共の公式統計によれば、2024年の年初から5か月間に、1千を超える銀行支店が閉店したことが明らかになった。
専門家たちは、中国の銀行が直面している高額な債務、利益率の低下、そして共産党の政策による圧力が、多数の銀行閉鎖の主な原因であると述べている。
中共(中国共産党)の国家金融監督管理局が公表したデータによると、2024年の最初の5か月間に合わせて1257の銀行支店が閉店した。その内訳は、地方の商業銀行の527支店で全体の約42%、信用協同組合とその支店の266支店で約21%、主要国有銀行の227支店が約18%を占めている。
加えて、外資系銀行の16支店、政策銀行の6支店、農村協同銀行の5支店が閉店、市場から撤退することになった。
大紀元紙のコラムニストである王赫氏によると、「中共は地方の債務問題、不動産市場、そして中小銀行のリスクを、最も重要な金融リスクとして認識している。近年、中小銀行のリスクを軽減するための対策が進行中であり、過去数年間にわたり、地方政府の特別債を利用して、数千億がこれら銀行の資本金として投入されてきた」と述べている。
王赫氏はさらに、中共が中小規模の銀行のリスクを抑えるために、銀行支店に圧力をかけ、自発的なポートフォリオ(資産構成)の縮小を推進していると指摘。その結果、今年の1~5月にかけて、多数の銀行支店が閉鎖され、特に農村商業銀行や村鎮銀行がその主な対象となっている。
米国の経済学者である黄大衛氏は、銀行の現状が、中国経済の根本的な問題を反映しているとの見解を示した。第1に、中共が長年にわたりインターネットや半導体の開発に焦点を当てた政策が、実体経済の空洞化を引き起こし、またゼロコロナ政策や貿易戦争への不適切な対応が、経済の停滞をさらに悪化させたという点だ。第2に、銀行自身が抱える高額な負債と低い利益率が、多くの従業員の経費を維持することを困難にしているという問題がある。
さらに、中共はモバイル決済やオンラインバンキングの普及を促進し、デジタル通貨の導入に向けた動きを加速している。これにより監視がしやすくなる一方で、将来的にデジタル通貨を市場に投入するための下準備となっているが、銀行の実店舗の需要が減る結果にもつながっている。
2022年、河南省ではいくつかの地方銀行が破綻に陥り、預金者が自らの権利を訴えた際、中共からの厳しい対応に直面した。
3月27日に「エコノミスト」誌が報じたところによると、中国の数百の銀行が増え続ける不良債権に直面しており、これが潜在的な危険因子となり、問題が爆発すると、その影響は甚大だ。
王赫氏はこのように指摘している。「中国の銀行システムは以前は容易に利益を出していたが、現在は経済の減速と不安定さに直面している。中共は市場を支えるために様々な対策を施しているが、それが銀行の収益圧迫とリスクの集中を招いている」
王赫氏の話によると、現在銀行業界では人員の削減や給料のカットが進行中だ。株式市場の動きを見ても、銀行の株価は振るわず、買い手はほとんど見当たらない。これは、銀行の経営状況と、人々のそれに対する見方が悪いことを示している。
さらに、中国には4千以上の銀行や金融機関が存在し、そのうち90%以上が中小規模だと王赫氏は指摘している。中でも農村商業銀行、村鎮銀行、都市商業銀行が、主要な役割を果たしているが、これらの銀行はリスクに対する耐性が低く、経営状態も決して良いとは言えない。
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