独メディア、反スパイ防止法がドイツの医薬品供給を脅かす

2024/05/24
更新: 2024/05/27

中国共産党による「反スパイ法」改正版は2023年7月に、「保守国家秘密法」は今年の5月に施行された。ドイツの製薬業界に実質的な影響が及んでいる。

ドイツの医薬品市場は中国に大きく依存しており、活性成分の22%が中国産である。供給網が複雑で影響を受けやすいため、この依存関係は問題を引き起こす可能性がある。中国の製造工場が操業を停止すると、ヨーロッパ市場は直ちに供給の問題が発生する。現在、ヨーロッパの製薬企業は技術的な課題だけでなく、政治的問題にも直面している。

「反スパイ法」と「保守国家秘密法」の施行で、中国共産党はスパイ防止の法律を大きく強化している。これにより、スパイ容疑者が中国を出国することを防ぐだけでなく、「労働秘密」という範囲も拡大されている。これは、国家秘密には含まれないものの、公開されると中国に不利益を与える可能性がある情報を指す曖昧な用語だ。

ドイツの製薬業界には、この規定が実質的な影響を及ぼしている。ドイツの監査員は、中国でスパイ扱いされるリスクを抱えており、安全性と品質の基準を守るためには、頻繁に中国へ出張する必要がある。

「ドイツ薬品法」では、ドイツ当局は生産施設の定期的検査を義務付けている。検査後には、GMP(適正製造規範)証明書が交付される。このプロセスによって、生産施設が「適正な製造管理と品質管理」の法的規制と基準を遵守していると認められる。ドイツ企業が中国から有効成分を輸入する際、GMP証明書が必要条件となっている。ただし、企業には自ら供給業者の生産施設を点検し、法律や契約の条件を満たしているかを確認する義務もある。

今までこれらのプロセスは標準的な手順だったが、現在、検査作業は停滞している。その理由は明白だ。政府や企業の検査官は、膨大な量の文書やデータを精査し、コピーし、場合によってはドイツに持ち帰る必要がある。人々は、中国共産党がこれらの情報を新しい法律の下で「労働秘密」として扱うのではないかと懸念している。、中国共産党の統治下では、これらの検査官がスパイになることはあり得る。

ドイツでは、通常、地方の委員会が公式の監査を行うが、ドイツ製薬業界協会によると、多くの州が認証の監査を行っていないと報告されている。ドイツ研究開発型製薬工業協会(vfa)のGMP認証の専門家、ファティマ・ビケイン氏は、「ドイツ全国の会員から、彼らを担当する検査官が、追って通知があるまで中国での認定を一時停止していることを聞いた」と述べた。

この停滞は、サプライチェーンの安定供給にタイムボムを仕掛けたようなものだ。ビカニ氏は、このような状況を「特に心配すべき」と指摘している。なぜなら、パンデミック中にテスト業務が停止してしまった。しかも、GMP証明書は定期的に更新する必要があるため、遅くとも今年の終わりまでには大変な事態に直面することになるだろう。

ビケイン氏は「実際に、中国での検査作業を強化すべきだ。検査員は毎日現地にいて、溜まった検査作業の遅れを取り戻し、潜在的な問題が起こらないようにする必要がある」と指摘した。

ドイツ研究開発型製薬工業協会はドイツ政府に助けを求めている。 ドロテ・ブラークマン常務取締役は「これまでのところ、解決への道は険しい」と述べた。 

ブラークマン氏の見解では、最初の一歩は「連邦の省庁が主導し、連邦政府と州が協力する」べきである。 また、中共(中国共産党)が「認証は両国の経済的利益につながるものであり、スパイ行為とは何の関係もない」ことを理解しなければならないと指摘した。

 

王亦笑