世界各国の画一的なコロナ感染対策とは何だったのか 

2024/05/03
更新: 2024/05/03

世界の歴史上、とんでもないおふざけと残酷なディストピア(実現しうる、最悪の社会)を力づくで押し付けようとする単一の方針が、これほど急速に地球全体を支配したことはない。2020年、武漢研究所から流出したコロナウイルスを封じ込めようとする無益な試みによって、これは起こった。

中国共産党が武漢で展開した有害な感染対策に触発され、全世界が(わずかな例外を除いて)普遍的な隔離と集権的な計画を試み、世界経済を麻痺させ、地球上の人々の活動を萎縮させた。

日米欧において「スローガン」と「儀式」は同様だった。隔離やソーシャルディスタンス、集会禁止、歌唱禁止、通路は一方通行、ステイホーム、「安全でいてね」、ズームを使おう、マスク着用、実際には不分別なPCR検査などだ。

これほどの規模で何かを試みた政府は従来なかったし、ましてや多数の政府が一度に試みたこともなかった。

このような実行不可能な「嘘」を羅列した後、これまで一般人に使用されたことのない技術で製造されたワクチンが試験的に注射されたのだ。脂質ナノ粒子を介してmRNAを送達する注射は、規制基準を通過することができなかった。しかし「緊急事態」を隠れ蓑にして、何十億もの人々の腕に注射した。

その結果、コロナワクチンによる被害件数(どのワクチンよりも多い)だけでなく、人間の精神性そのものを消耗させ、ほとんど死地に追いやった。結局のところ、人間は檻の中では成長しないのだが、多数の政府が我々を1、2年あるいはそれ以上の間、まさにそこに閉じ込めようとしたのだ。

筆者が創設者兼社長を務める米ブラウンストーン研究所はこれまで、主にアメリカのケースに焦点を当ててきたが、我々が研究し、取り組んでいる問題や課題は、世界中に及んでいる。そこでこの1週間、我々のチームはスペイン北東部のカタルーニャに赴き、一流の科学者やジャーナリスト、法学者、医学者らと一連のセッションで会い、それぞれの経験について意見を交換した。我々は30か国の異なる管轄区域から声を集めたのだ。

驚くべきことではないのかもしれないが、大西洋の両岸(アメリカとヨーロッパ)での経験はほぼ同じだった。ソーシャルメディアやハイテク機器に対する積極的な検閲とともに、主要メディアの一律的な報道、教授らは大学を追われ、医師は免許を剥奪されたことなど。

そのほか、YouTubeからチャンネルが削除された。一流の人たちはLinkedInのアカウントを失った。異論を唱える者は冷酷なまでに中傷された。

米欧のどちらの弾圧が過激だったかは、どの国でも恣意的で残忍なため、一概には言えない。また、地元当局のサディズム(残酷さの中に喜びを見いだす性向)の度合いにも大きく左右された。

非常に軽いタッチだったと言われるスウェーデンの代表からも話を聞いた。あくまでもヨーロッパの他の州と比較しての話だ。

人権と自由に関する通常の基準からすれば、スウェーデンはひどいもので、介護施設や病院で家族が会うことを拒否し、奇怪にも閉鎖を強要した。また、スウェーデンでは普通の生活が許されていたにもかかわらず、政府は予防接種においては逆の方向に進み、接種していない人々にワクチンを注射させるという極端な手段をとった。本当に、スウェーデンは他の国よりはましだったが、コロナ対策を見れば人道的でも合理的でもないと言える。

スウェーデンの人権侵害が他国より軽かったからといって、高い評価を得ることはできないだろう。

ヨーロッパ経済は、いまだに壊滅的な打撃から回復していない。また、米国と同様、本当の意味での説明責任はなく、ましてや「悪人たち」に罰が与えられることもない。誰も謝罪していない。退陣したのは有権者に追い出された者だけである。今日においても、真実と誠実が切実に求められている。

こうしたコロナの騒ぎについて、米国の多くの人々の間では、ドナルド・トランプ氏を大統領から引きずり下そうとする手の込んだ企てに過ぎないという、全くもってもっともらしい説が唱えられている。世界各国の画一的なコロナ対策を見ると、その説は成り立たないように思える。しかし、同時期のイギリスにはブレグジット(英国のEU離脱)を実行しようとする首相がおり、ブラジルにはディープ・ステート(闇の政府)を根絶やしにしようとするポピュリスト(大衆主義者)の新大統領がいたことを忘れてはならない。

実際、ヨーロッパのどの国でも、大量の移民、犯罪や汚職の増加、メディアの共謀、陰謀あふれる政治階級に対抗するため、新たなポピュリスト運動が台頭した。新政党はどの議会制度でも勢力を拡大することができ、ヨーロッパの超国家という形でエリートたちに強制された「ユートピア」に立ち向かっている。

だから、ドナルド・トランプ氏を下すことだけが目的ではなかった。彼は懸念要素のうちの1つにすぎない。ポピュリストらの世界的な反乱の機運の高まりこそ彼らが恐れいていることで、それを鎮火する必要があった。そこで、手引書の中で最も極端なトリックは感染症だった。

諜報機関と世界で最も裕福な企業に支えられた世界的な体制を刺激したため、彼らは誰が本当に物事を動かしているのかを、世界中の人々に思い知らせる目的で、極端な行動に出た。その恩恵として、グローバルメディア企業やハイテク企業、製薬会社は、政府からの補助金と半ば強引に売りつける方法で金持ちになった。これは政治的なクーデターであるだけでなく、産業的なクーデターでもあった。

エリート勢力・支配層が世界保健機関(WHO)を通じて、新たな中央集権化を試みており、国際保健規則(IHR)が「ワクチン接種がなされるまでロックダウンする」という世界的シナリオを構想している。現在、世界の多くの国々がこのような努力を阻止しようと動いている。

カタルーニャでのセッションで、我々のチームが知り得たことで重要なのは何か? 今日、私たちが直面しているのは、これまでに見たことのない種類の「獣」であることがはっきりした。問題は国内だけでなく国際的な点だ。それは政府だけでなく、世界中の自由と民主主義を完全に無力化する強権的なカルテルを目指す国際的な政府と業界の結合体である。

我々はこの問題を表現する言葉さえ見つからない。かつて私たちは、私企業を手中に収めた政府の行為を「国有化」と呼んだ。多国籍複合企業が、「グレート・リセット」に抵抗する世界中の人々の生活と産業を手中に収めたとき、世界はどのような様相を見せていくのだろうか? それを何と呼べばいいのかさえ分からない。

現実を直視するのは難しい。我々は世界がエリートたちの思い通りに進んでいるとは考えたくない。我々の国家が、従来のイメージ通りに、正常に機能していると信じたいのだ。しかし、コロナがすべてを変えただけでなく、根本的な問題を白日の下に晒したことも事実である。今日私たちが直面しているのは、権力を維持し強化するために強硬・強権的な手段も厭わない国際的な覇権国家である。国民に対する支配を強化するために、検閲やあらゆる形の心理操作を行っているのだ。

我々が話をしたヨーロッパ人は、アメリカ人よりもはるかに賢い。彼らは悪が権力の座に居座り、住民に寄生して利益を得ようとすることを長い間経験してきた。彼らにとって、このことは特に驚くべきことではなかった。興味深いのは、抵抗運動が成長していることだ。

エリート勢力・支配層は、国民皆保険パスポート、監視、封鎖、そして国民の利益を永久に無視するという夢物語で、あまりにも行き過ぎたことをしてきた。彼らの計画はかつてないほど露呈しており、多くの人々に知れ渡ったことに、非常に憤慨、動揺している。

我々は今、5年前には知らなかった彼らのゲームとゴールを理解している。それが進歩だ。ヨーロッパが統一され、中央から統制されるという妄想は暴かれ、瓦解しようとしている。米国はといえば、かつては壮麗だった大統領職という制度が、*テレプロンプターを読む能力しか残っていない認知症患者に取って代わられるのを、欧州の人々は驚きをもって見ている。我々はホログラム(物体の3次元像を記録できる立体写真)に支配される一歩手前なのだ。

*原稿をソフトウェアを使ってスクロール表示する場合、放棄設定した時間でスクロールすることができるため、より簡単正確かつなタイムキープを実現し、視線をカメラの方へ常に向けることが可能にさせる撮影機器。

今後、具体的にどのようなシナリオが展開されるのかは謎である。コロナ禍の世界各国のロックダウンは前例がないが、それをきっかけに発展した世界的な反対運動もまた同様である。もはやエリートたちは、気候変動や偽情報についての決まり文句を口にするだけで、人々が盲目的に従うとは思っていないだろう。このような取り組みにはまだ長い道のりがあるが、これまで私たちが目にしてきたことは非常に勇気づけられる。

本記事で述べられている見解は、著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映するものではありません。

 

ブラウンストーン・インスティテュートの創設者。著書に「右翼の集団主義」(Right-Wing Collectivism: The Other Threat to Liberty)がある。
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