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オミクロン変異株が再流行 繰り返す感染で知力低下のリスクも

オミクロン変異株による感染が再び広がっています。大きな遺伝子変異はないものの、感染力が非常に強く、免疫から逃れる性質も顕著なため、すでに感染した人や最近感染した人でも再感染する可能性があります。そして、この「繰り返しの感染」が認知機能や記憶力の低下を引き起こす恐れがあるのです。

台湾の新光医院・健康管理部の医療副主任・柳朋馳氏は、最近放送された『健康1+1』という番組で、新しいオミクロン変異株の特徴や重症化の兆候、さらに12週間以上続く「長期的な後遺症」が脳に与える潜在的影響について解説しました。番組では、一般の方がどのように症状を見極め、早めに受診すべきかについても呼びかけられました。

新たな変異株の特徴とは

柳氏によると、今回の感染では、これまでのCOVID-19株とは異なる以下の特徴が見られます。

  • 発熱の割合が減少。以前は感染者の約7〜8割が高熱を出していましたが、現在は3〜4割にとどまり、多くの人の体温は38度を超えません。
     
  • 全身の痛みは依然として顕著。一方で、喉の痛みを訴える人は減少し、多くの感染者は喉の乾きやかゆみを感じる程度にとどまっています。
     
  • 下気道の症状は減少。初期の変異株のように重度の肺炎を引き起こすことは少なく、主に上気道(鼻や喉)に症状が現れ、鼻水や軽い咳が中心です。
     
  • 鼻づまりと粘り気のある痰。多くの患者が強い鼻づまりを訴え、痰が粘っていて出しにくいという声も多く聞かれます。
     
  • 胃腸症状の増加。以前と比べ、今回の変異株では下痢の症状がより多く見られます。ただし、激しい水様便になることは少なく、比較的軽度です。

現在流行しているNB1.8.1やLB1.8といった変異株は、オミクロン株の系統に属しています。大規模な遺伝子変異は確認されていないものの、感染力がさらに強く、免疫回避能力も高いため、すでに感染した人やワクチン接種済みの人でも再感染の可能性があります。

また、ウイルスが地域社会内で循環し続けていることも、今回の流行が強まっている一因です。国際的な人の往来によって新たな株が持ち込まれる可能性もあり、感染の拡大はしばらく続くと考えられています。

さらに、高齢者や慢性疾患を持つ人など免疫力が低下している人々、そして一度感染歴のある人でも、再び感染するリスクは高いとされています。
 

要注意!すぐに病院を受診すべき8つの警告サイン

柳氏によると、今回の感染症では重症化の兆候が心臓機能、呼吸器系、そして敗血症に関連することが多く見られます。以下のような症状が現れた場合は、一般の診療所ではなく、大病院や救急外来にすぐに行くべきです。なぜなら、重症患者には酸素投与や点滴、その他の緊急医療処置が必要になる可能性があるからです。

1. 息切れや呼吸困難

2. 胸の痛みや圧迫感が持続する

3. 意識がはっきりしない

4.  皮膚、唇、爪の色が青紫になる

5.  食事・水分・薬の摂取ができない

6. 過去24時間で尿が出ていない、または極端に少ない

7. 収縮期血圧が90mmHg未満

8.  熱がないのに脈拍が1分間に100回を超える

特に高齢者、慢性疾患を持つ方、免疫力が低い方などは、これらの症状により注意を払い、疑わしい兆候があればすぐに受診することが勧められます。

また柳氏は、以前から使用されている抗原検査キット(簡易検査)も現在の変異株に対して有効であると説明しています。というのも、検出に使われる抗原は変異しにくい部分をターゲットにしており、ウイルスが変異しても陽性反応が出る可能性が高いからです。ただし、検査時に「Cライン(コントロールライン)」が表示されていることを必ず確認する必要があります。これが表示されていれば、キットが正常に機能しており、一定の信頼性があることを示しています。
 

認知機能の低下

柳氏は、新型コロナウイルスが脳に与える影響について、医学界ではパンデミック初期から注目されており、実際に一部の患者で「ブレインフォグ(脳の霧)」の症状が確認されていると述べています。これには、集中力の低下、意識の混乱、思考の鈍化、頭の中がぼんやりする感覚、物忘れ、言葉が出にくい、精神的疲労などが含まれます。

さらに、2024年に『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に発表された約11万3千人を対象とした研究では、新型コロナ感染後、多くの人が程度の差はあれど認知力や記憶力の低下を経験していることが報告されました。中でも、症状が比較的早く回復した人や軽症で済んだ人は影響が小さい一方、長期的な後遺症を抱える人、初期のウイルス株に感染した人、重症で入院した人は、記憶力や認知機能の低下が特に顕著でした。

柳氏は、最近の変異株は初期の高病原性株と比べると記憶力への影響は小さいものの、繰り返し感染することで累積的に脳に影響を与え、認知機能が低下する可能性があると警告しています。なお、長期的な後遺症が数年にわたって続くかどうかについては、現時点では明確な結論は出ていないとしています。
 

陽性判定後の最新の対応方針

柳氏は、オミクロン変異株の登場により感染対策の考え方も変わってきたと述べています。以前は、抗原検査が完全に陰性になるまで隔離を続けることが求められていましたが、現在では、たとえ検査結果が陽性のままでも、感染力は大きく低下している可能性があるとされています。そこで、以下のような対応が推奨されています:

  • 確定診断後は5〜7日間の隔離を行い、他者との密接な接触を避けること。
     
  • 抗原検査で陽性が続いていても、症状が緩和されていれば感染力は低くなっている可能性があるが、引き続き防護対策を講じるべき。
     
  • 回復直後でも再感染の可能性があるため、流行状況に注意し、人が多い場所や高リスク環境ではマスクを着用し、手洗いを徹底すること。
     
  • 社交活動に戻る際は、特に混雑した場所や高リスクの人と接する場面ではマスク着用を続けることが望ましい。

また、柳氏は、回復直後に激しい運動を再開することは避け、体が徐々に回復する時間を設けるよう勧めています。一般的な健康な人であれば2〜3週間の休息を取った後に運動を再開し、慢性疾患のある人は少なくとも1か月は休養するのが望ましいとされています。

(翻訳編集 華山律)

英文大紀元が提供する医療・健康情報番組「健康1+1」の司会者を務める。海外で高い評価を受ける中国の医療・健康情報プラットフォームであるこの番組では、コロナウイルスの最新情報、予防と治療、科学研究と政策、がんや慢性疾患、心身の健康、免疫力、健康保険など、幅広いテーマを取り上げている。
林一山