墓に来てまで「科目三」を踊るのか? 退廃的世相を反映するダンスブーム=中国

2024/02/14
更新: 2024/02/14

昨年あたりから、中国では「科目三」と呼ばれるダンスが大流行している。

それだけであればまだ良いのだが、最近ではこの「科目三」を、葬儀の場や墓前など、なぜか場面をわきまえずに踊る人が続出しているという。

おそらくは、そうした屈折した心理を承知の上での表現であり、一種の社会現象であろうが、ネット上では「不快だ」と非難の声も広がっている。

このほど、これから葬儀をする霊堂や先祖のお墓の前で「科目三」を踊る、なんとも不謹慎な人まで現れた。

そうした動画を目にした人からは「死者を尊重していない」「道徳を乱している」「まるで幽霊を呼んでいるみたいだ」などと非難が寄せられている。

本来の「科目三」という言葉は、中国の運転免許試験のなかの「実地運転試験」を指す。自動車教習所で、科目1から4まであるうちの「3番目のテスト」のことだ。

いっぽう、ダンスの「科目三」はというと、体をS字状にくねらせながらアップテンポの曲に合わせて、ぐにゃぐにゃと踊る。まさに内面性が豊かで美しい中国の伝統舞踊とは対極にある、いかにも昨今の中国が抱える退廃的な世相から生まれたような、見るに堪えない「おどり」である。

そんな奇妙なダンスがなぜ「科目三」と呼ばれるようになったのか、その経緯ははっきりしない。ただ、広西省で行われたある結婚式で踊られたこのダンスがネットで注目され、そのような名前がついたという。

いま「科目三」はTikTokやYoutubeといった動画共有サービスで流行しており、関連ハッシュタグがついた動画の再生回数は100万回を超えている。とにかく「中毒性がすごい」らしい。

中国共産党による無神論の洗脳教育により、中国の伝統文化はほとんど破壊された。そうした中共当局による政治的な後押しで、今の中国社会には、本当の美や善を遠ざけた、極めて低俗なものばかりが流行している。

この「科目三ダンス」もその1つで、多くの省のテレビ局の2024年の年越しイベントでも取り上げられている。

昨年末、遼寧省瀋陽市では「科目三ダンス」を最多人数で踊る、ギネス世界記録挑戦イベントまで開催されていた。

このように、中国で「科目三」が大流行しているのも事実ではあるが、それに眉をひそめる人々もいる。一部のネットユーザーは「この世界は狂ってる」「あのダンスを見ると、テレビを叩き壊したくなる」として、不快感と怒りを露わにしている。

(先祖の墓前で「科目三」を踊る子供と、それを喜んで撮影する大人たち)

(親族の長老が亡くなった葬儀の場で、大音量の音楽を流し「科目三」を踊る)

(江蘇省で行われた葬儀の場で、中年の男性が「科目三」を踊っている)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
関連特集: 中国