1989年6月4日、「六四天安門事件」として歴史に名が刻まれたその日、天安門広場を中心とする北京市内では、民主化を求める学生や市民に対して、中国共産党(中共)軍が実弾を発砲、また戦車で人をひき潰すなど、流血の大弾圧が行われた。
事件以来、「1989年6月4日」は中共当局にとって最もセンシティブ(敏感)な日となり、35年が経つ今も、中共当局は、「天安門事件」に関連する話題をネット上で血眼になって監視し、国内外で犠牲者を追悼する活動を阻止しようと躍起になっている。

「8964」が官製メディアの大見出しに
3月26日、この「超敏感ワード」がなんと、中国の政府系メディアの大見出しに載るという、前代未聞の事件が起きた。
事件を起こしたのは、政府系メディア「証券時報」だ。この記事は、中国の飲料チェーン「蜜雪冰城」の2024年の業績報告について報道しており、「新規出店数8946店(文中)」だったのが、タイトルになると、「8964」になって記載されていた。
つまりは大見出しの8964はただの誤記だった。それでもこの「大事件」はネットで大炎上して話題になり、当局は何はともあれ、とりあえずは問題記事を慌てて削除した。
しかし、元記事をそのまま転載するポータルサイトやメディアも多く、中国のネット上で「8964」の見出しが、とにかく目立った。後に、転載された記事のほうも、次々とその見出しを「8946」に修正していった。
今回の誤記は単なる数字ミスに過ぎない。それにもかかわらず、中国当局が即座に記事を削除し、修正に奔走したことは、中国政府が「六四天安門事件」への言及に対し、極度に神経をとがらせていたことを浮き彫りにした。

ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。