沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場から名護市辺野古への移設計画に関して、政府は28日、移設に反対する県に代わり、軟弱地盤改良工事の設計変更を承認する「代執行」を行った。
国土交通省が承認書を作成し、防衛省沖縄防衛局に交付した。この代執行は、地方自治法に基づくもので、今回が初の事例となる。
防衛省は2024年1月12日にも、軟弱地盤のある大浦湾側の埋め立て区域の外側で、箱形コンクリートを仮置きするための工事に着手する予定だ。
この代執行では福岡高裁那覇支部は判決で、玉城デニー知事による承認の不服を「社会公共の利益を害する」と指摘し、「法の支配の理念や法治主義を著しく損なう」と言及していた。
玉城知事は判決を不服として最高裁に上告し、記者会見で判決を批判。玉城知事は「辺野古移設反対」の立場を貫き、「沖縄県の自主性、自立性を侵害し、多くの県民の民意に反する」と主張した。
普天間飛行場の返還について、日米両政府が1996年に合意。移設計画は、翁長雄志前知事が国を相手取る訴えを起こしたことで注目を集めた。玉城知事も翁長氏の方針を受け継いでいるが、判決に至った訴訟はいずれも県が敗訴している。
政府は辺野古に移設することで普天間飛行場の危険性を解消し、在日米軍の抑止力や対応力を維持できると主張。近年、中国の海洋進出が強まる中、日米にとって沖縄の戦略的重要性が高まっている。
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