政府は、2025年3月27日、台湾有事などの緊急事態を想定し、沖縄県の先島諸島から住民約12万人を避難させる計画を初めて公表した。この計画は、中国共産党軍による台湾侵攻など情勢が緊迫し、日本への武力攻撃が予測される場合に備えたものとされる。
避難対象となるのは宮古島市、石垣市、竹富町、与那国町、多良間村の5市町村である。住民に加え観光客も含めた約12万人が対象となり、自衛隊や海上保安庁の船舶、民間フェリー、航空機を利用して1日あたり約2万人を輸送する計画だ。これにより、6日間で全員を九州や山口県の受け入れ先に移動させることを目指すと言う。
避難ルートとしては、宮古島市と多良間村の住民が鹿児島空港を経由し、それ以外の地域は、福岡空港を利用する。避難後は貸し切りバスなどで九州7県と山口県の計32市町村に移動し、ホテルや旅館で滞在する手筈となっている。受け入れ人数は福岡県が約4万7400人で最大となり、他県も数千人から1万人以上を受け入れる予定だと言う。
政府は、この計画について、
「令和8年度(2026年度)までに実効性のある内容とするため準備を進める」
としており、大規模な訓練も実施する方針だ。具体的には輸送手段や宿泊施設の確保、食料や物資の備蓄などが検討されている。また、地域コミュニティの維持や要配慮者への対応も課題として挙げられている。
一方で、このような前例のない避難計画に対して懸念もあり、受け入れ自治体からは
「避難者が生活できる環境を整えることが可能か?」
といった声が上がっており、住民側からも「避難後の生活支援への不安」が指摘されている。
政府は事態への備えとして、国民保護法に基づき、沖縄県及び関係自治体と連携しながら計画の具体化を進めている。今後も訓練や調整を重ね、有事への対応力向上を図る方針だ。
この避難計画は、日本政府が南西地域の安全保障強化を目指す中で、重要な取り組みとなっており、その実効性と住民・自治体双方への配慮が問われることになると言う。
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