APEC直前 日本、反中共姿勢強める

2023/11/13
更新: 2023/11/14

日本の岸田文雄首相は、APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議を控え、中国共産党(中共)に対する一連の大きな動きを見せた。米国など同盟国とともに、軍事力をもって国家安全と世界平和を維持するというコンセプトを示した。日中関係は過去に戻ることはもはや難しい。

秋葉剛男国家安全保障局長は11月9日、北京を訪問した。中国の王毅外相と会談し、APEC期間中の日中首脳会談の開催などについて意見交換したほか、中共による日本産水産物の輸入停止措置や、尖閣諸島問題について日本の立場を中国側に表明した。王毅外相は日本が早急に具体的な行動で、両国関係改善の意思を示してほしいと述べた。双方は、日中首脳会談の開催について、引き続き調整をすることで合意した。

日本の世論をまとめると、現在、日中間で早急に解決すべき課題は、核処理水の海洋放出と尖閣諸島問題の2つだと考えている。 首脳会談が実現すれば、岸田首相は中国側に日本産水産物の輸入禁止措置を解除するよう求めるだろう。中国海警船が尖閣諸島付近で航行することに改めて岸田氏が懸念を表明し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する可能性も高いと考えられる。

11月9日の中国外交部記者会見で、APEC期間中、日中首脳会談が行われるかどうか尋ねられた報道官は、「申し上げる情報はない」と答えた。

日本、APECを前に一連の反中共の動き

日中首脳会談が基本的に確定した後、岸田政権は多くの分野で、中国との対立姿勢を強めた。

岸田氏は10日、米軍制服組トップのブラウン米統合参謀本部議長と首相官邸で面会。両氏は中露を念頭に、日米同盟の抑止力と対処能力の強化に向けて協力を進めていくことで一致した。

11日、岸田首相は、航空自衛隊の航空観閲式に出席し、中共とロシアが爆撃機を共同飛行させることに、警戒を怠らないよう求めた。スタンド・オフ・ミサイルの整備を「速やかに進める」とし、次期戦闘機を日英伊で国際共同開発し、宇宙作戦能力を強化すると表明した。

日米韓は、北朝鮮が発射する弾道ミサイル情報を3か国で即時共有するシステムについて、予定通り12月に運用を開始することで合意した。

APEC会議期間中、岸田首相は韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とともに、11月17日に、スタンフォード大学で講演を行う予定だ。両首脳は、日韓の経済的な安全・安心の分野での協力や、日米韓の協力について説明し、両国の関係が大きく改善したことを示す。

岸田氏は、半導体を含む重要戦略物資や量子技術、人工知能などの分野で日米韓が協力してサプライチェーンを構築していくことも強調する。

日中関係は戻れない

中共は、日本から排出される処理水を「汚染水」とレッテルを貼り、日本国民の反感を招いた。

さらに、中共は軍事力を拡大、東シナ海の尖閣諸島や南シナ海の領有権をめぐる紛争地域では、他国に対する覇権主義的な行為を頻繁に行っている。日本は、中共の台湾侵攻に対抗する防衛拠点作りに、戦略的な重点を置いている。

日本の戦略シンクタンクである平和政策研究所(IPP)は、2022年に対中戦略政策に関する報告書「日本の対中総合戦略―採るべき15 の戦略・3 つの改革―」を更新し、日本が置かれている厳しい環境、中共を正しく理解する方法などについて詳細に論じた。報告書は、中共の脅威の本質は、自国中心の意識と覇権意識、独裁・抑圧の政治体制と、恐るべき監視社会システムとその組織、普遍的価値を尊重順守せず、国際ルール・国際公共財の形成・提供の責務を果たそうとしない異質性だと指摘している。

国際情勢が大きく変化し、台湾海峡や南シナ海でいつ領土紛争が起きてもおかしくない。評論家らは、バイデン氏と習近平氏との会談の狙いの一つは、軍事的会話を再開させ、事態が収拾つかなくなるのを防ぐことだと分析している。日本も、摩擦を減らすために、日中間のハイレベル対話を維持したいと考えており、気候変動対策における協力を呼びかける予定だ。ただし、日本はすでに中共の本質を見抜いており、日中関係は以前には戻らないだろう。

 

呈工